「8個で毎秒1.6テラビット」 DC向け光通信受信チップ、年内量産へ 三菱電機
三菱電機は20日、次世代光ファイバー通信に使う光トランシーバーの受信チップを開発したと発表した。10月1日にサンプル提供を開始し、2024年中の量産を予定。200Gbpsの動作速度で、生成AI(人工知能)の利用拡大などに伴うデータセンター(DC)のネットワーク高速化や大容量化への対応を狙う。 【関連写真】800Gbps/1.6Tbpsデータセンター用光デバイスの構成例 開発した「800Gbps/1.6Tbps光ファイバー通信用200Gbps pin-PDチップ」は、裏面に光を入射する構造と凸レンズ形状で光を集積する構造とを組み合わせ、光電変換領域を小型化。高速動作を実現し、現在主流の100Gbps製品と比べ2倍の伝送を可能にした。光トランシーバー内に新型チップを4個搭載すれば800Gbps、8個搭載すれば1.6Tbpsの通信が可能になる。 DC内の光通信は従来の400Gbpsから800Gpbs、1.6Tbpsへと移行が進む。三菱も、生成AI用演算機器のデータ通信経路の切り替えスイッチを構成する光トランシーバー用に、200Gbpsの送信チップを4月から量産しているが、受信チップについては性能を満たす製品が市場に少なかった。 半導体事業本部半導体・デバイス第二事業部長の盛田淳氏は「長年の実績と光デバイスの設計・製造により培ったノウハウを生かし、高速動作を実現した受信用光デバイスのフォトダイオード(PD)を初めて製品化した」と話す。 同社は、送信用の電界吸収型光変調器を集積した半導体レーザーダイオード(EML)チップでは「世界シェアの半分」(半導体・デバイス事業本部高周波光デバイス製作所光デバイス部長の山内康寛氏)を確保するという。新規参入する受信チップでも同様の存在感を目指す。 米国が主導するDC業界では、30年前後をめどにより高速な光通信の導入検討が進む。三菱もこれを視野に入れ、光トランシーバー用の400Gbps送受信チップの開発も目指す。
電波新聞社 報道本部