若隆景 1分26秒熱戦制した!2敗死守し勝ち越しに王手 右膝手術から再起し復活気配「一生懸命に相撲を取るだけ」
「大相撲秋場所・9日目」(16日、両国国技館) 平幕若隆景が熱戦の末に翠富士を寄り切って2敗を守り、勝ち越しに王手をかけた。右膝の手術から再起し、幕内復帰2場所目。優勝経験もある元大関候補が、本格復活の気配を漂わせた。関脇大の里は若元春を下して9連勝で単独首位をキープ。関脇霧島も湘南乃海を寄り切り、勝ち越しを決めた。大関琴桜は宇良に屈して3敗に後退した。全勝の大の里と1敗の霧島は10日目に直接対決。2敗で平幕4人が追う。 力強く我慢強い、若隆景らしい相撲だった。館内を沸かせる1分26秒の熱戦。「根負けしないように、最後まで集中してやろうと思っていた」。肩で大きく息をしながら勝ち名乗りを受けると、再び大きな拍手を浴びた。 互いに右をのぞかせ、左をおっつけ合う形に。右で下手を探りながら、隙が生まれるのを待った。翠富士が差し手を抜いた瞬間を逃さず、もろ差しになって前へ。我慢比べを制して寄り切った。これで2敗を守って勝ち越しにリーチ。9日目を終えて2敗以下なのは幕内では自身3度目で、初優勝を飾った22年春場所以来となる。 昨年春場所で右膝を負傷。同4月に靱帯(じんたい)の再建手術を受け、3場所連続全休から復帰後は慎重にステップを踏んできた。今場所前は連日申し合いがこなせるようになり、1日の番数も20番程度までアップ。師匠の荒汐親方(元幕内蒼国来)は「毎場所少しずつ良くなっていると思う。『先場所よりいい』と言っていた」と証言。「だいぶ変わってきましたよ。幕内にやっと戻ってきたと感じているところと、ここからというのを本人もよく分かっている」と、明るい表情に復調を感じとっている。 大関候補筆頭の呼び声も高かったのは、わずか1年半前。コンディションが整えば、地力に疑いはない。声援の大きさに「期待に応えられるように、一生懸命に相撲を取るだけ」と誓った若隆景。折り返しを過ぎての疲れも「そういうのは考えていない」と頼もしい。白星を重ねれば、優勝争いに割って入る可能性も出てくる。本格復活の時は確実に近づいている。