岩井明愛がワクワク、ドキドキの4差逆転V FWキープ率バツグンの1Wで見せたバーディ劇場
<住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 最終日◇15日◇新南愛知カントリークラブ美浜コース(愛知県)◇6560ヤード・パー72 カッコよすぎるこのガッツポーズ!【写真】 「自分らしいゴルフとは」という問いに、岩井明愛は常にこう即答する。「見ている人をワクワクさせるゴルフです」。ティショット以外にドライバーを握る代名詞ともいえる“直ドラ”も、マネジメント以上にギャラリーを喜ばせる側面が大きい。そんな岩井ツインズの姉が、この日は誰よりも「ワクワク、ドキドキしていた」と山下美夢有との激闘を振り返った。 「楽しかったです。バーディパットを打つ前に、これを入れたら追いつくとかを考えると、自然と笑顔になる。美夢有さんは一緒に回るたびに、すごくいいゴルフをされていて、スキがない。最後の最後まで気が抜けなかった。ゴルフってどうなるか分からないので」 4打差を逆転して今季3勝目、通算6勝目を自身初の連覇で飾った。これまでの最大逆転は6月の「ニチレイレディス」の3打差。自身最大の逆転Vを2季連続年間女王を相手にやってのけた。バックナインはマッチレースの様相を呈した一進一退のV争い。しびれるような展開が心地よかった。 前週の国内メジャー「ソニー 日本女子プロ選手権」は3位から出た第3ラウンド(R)の11番でティショットを大きく右に曲げ、痛恨のトリプルボギーを叩いた。アンプレヤブルを宣言する選択肢もあったが、結果的には傷を広げることになった斜面の植え込みからのチャレンジ。最終Rは「75」と崩れ、9位に終わった。 「あのトリプルボギーを引きずることはなかったけど、ティショットは本当に大事だと思った。フェアウェイに置いておけば、スコアは作れる。きょうはそれができたかな」 この日のフェアウェイキープ率は71.4%(10/14)で全体5位。先週の反省を生かし、狭いコースをボギーなしで回り切った。1番からの3連続、5メートルを沈めて山下に並んだ15番、初めて単独首位に立った17番など奪った8個のバーディは安定したティショットの賜物だった。「4打差もあったし、優勝争いしている人も美夢有さんだったし、正直追いつくことはできないと思っていた。きょうは本当に勝とうと思わなくて、いいやと気楽にいきました」。18番で1メートルのウィニングパットを沈めると空を見上げ、両こぶしを力強く握り、「ワクワク、ドキドキ」の脱力からの逆転劇を完結させた。 12月には来季の米ツアー出場権を目指し、妹の千怜とともに最終予選会「ファイナルQT」に挑戦する。心に秘めていたプランを公表した週に決めた優勝は、出来すぎたシナリオのように実にカッコよかった。(文・臼杵孝志) ※初稿に間違いがあったため、タイトル、本文を訂正しました。お詫び申し上げます。