バカッ速ポルシェをさらに怪物化! 世界の超メジャーポルシェチューナー4選と衝撃の作品
9ff(9ff Fahrzeugtechnik GmbH)
ルーフといえば、一時期同社のチーフエンジニアを務めたヤン・ファットハウアー(Jan Fatthauer )が作った9ffも忘れがたいポルシェチューナーでしょう。やはり最高速にこだわったチューニングが特徴で、「最高速度400 km/hの911」をコンセプトに数々のマシンを送り出しています。有言実行できたのは2008年のことで、9ff GT9によって最高速度409 km/hを記録しました。 これは997をベースとしながら、エンジンは4リッターまでスープアップ&ツインターボ化がなされ、およそ1100馬力を発揮。また、ミッドシップへと変更されたほか、主要部分をカーボン素材に置き換えることで、その名のとおりGTレース車両に等しい仕上がり。 驚くべきはGT9の生産台数で、その数なんと150台! このクラスとしては売れに売れたといっても過言ではないでしょう。ただし、前述のフルチューンエンジン搭載車は20台程度とされ、ほかはいくらかマイルド(といっても700馬力オーバー)とのこと。 なお、このあとでGT9はR→CS→Vmaxと進化を続け、最終的には4.2リッター、1200馬力というモンスター911として知られるようになりました。
エモリー・モータースポーツ(Emory Motorsports)
ここまで主に911をチューニングするファクトリーをご紹介してきましたが、エモリー・モータースポーツは先代の356をチューンするというレアなファクトリー。カリフォルニアで三代続くというクルマやパーツを扱うエモリー家ですが、現代表のロッドが家業を継ぐと、クラシック・ポルシェのレストア&カスタムに手を広げました。 これだけならさして珍しくもないのですが、エモリーはシンガー同様に大胆なレストモッドも得意としており、356ボディの下に993カレラ4の駆動系を潜り込ませたこともあるのです。とはいえ、このモンスター356の場合はオリジナルよりも車体は大型化され、いわゆるマルホランド・ランのような仕上がり。 一方で、注目すべきはオリジナルの356ボディ&シャシーに930のフラットシックスを4気筒化して搭載、また901系のミッションと足まわりを移植することで、「現代の路上を余裕で走れる356」となっているとのこと。900kgの車重に188馬力のフラットフォー(笑)となると、パワーウェイトレシオはおよそ4.79kg/psですから、たしかに気もちよさげなチューンアップといえるでしょう。 価格はチューンのレベルにもよりますが、17万5000~30万ドルと、新車の911にも等しいもの。とはいえ、ボンヤリした911を356がキリっとぶち抜いていく対価としたら相当お安い気がします。 ここで紹介したほかにもアンディアルやシンガー、あるいはゲンバラやDPなんてチューナーもじつに魅力的な作品を生み出しています。奥が深いというか、サンプルが多いチューンド・ポルシェですから、深堀してみることオススメいたします!
石橋 寛