子どもに「他人様に迷惑をかけないように」と言ってはいけない。祖父母による“孫のトリセツ”
「叱る」のではなく、「問いかける」、「誘う」
夫も最近は、なんでも「いや!」という2歳児の扱い方に長けてきました。毎日の送り迎えは基本夫の役目なのですが、孫は毎朝、お気に入りのミニカーを握って自転車に乗ろうとします。最初は、なんとしてでも置いていかせようとした夫でしたが、10分以上も格闘し、大泣きさせて自転車を走らせることになるので、とうとう折れました。そのまま持たせて、保育園に入るときに「お友達に取られちゃうけど、いいの?」と問いかけると、ぱっと手渡してくれるのだそう。 じつは、息子のおよめちゃんが、こういう対応、とってもうまいのです。真正面からぶつからず、幼子の目線でものを言い、解決してしまいます。私の夫も、彼女に学んでいます。たとえば「帽子をかぶらない」問題も、彼女ならすんなり解決してしまいます。彼女がうれしそうに帽子をかぶって、彼女の夫にもそうさせて、保育園児の「みんなと一緒」本能をうまく刺激して、誘うのです。
子育て中の親に、イライラはつきもの
およめちゃんが、幼子に「〇〇しなさい」と怒鳴っている姿は見たことがありません。イラついて、ほかの家族に当たったり、その場を放棄することはあるけれど、これが正解です。こういうことができるために、私たち家族がいるんです。私は、イラつく彼女に同情し、彼女がうんざりして脱力し始めたら孫を受け取ります。 子どもは言うことを聞きません。それが仕事だからです。脳は、この星のありようを知ろうとしています。目についたものに触り、やりたいと感じたことをやってみます。「やるな」と言われれば、当然やります。なにが起こるか知りたいからです。 それは、脳の構造から言えば28歳まで続きます。 その子どもを、一度の失敗もなく正しく導こうとして、親は焦ります。それが親の本能だから。かくして、子育て中の親にイライラはつきもの。要は、そのイライラをどう処理するかです。
よその子と比べない、世間体を言わない
ワンオペ育児のママたちが、その場から逃げ出せないことに、心から同情します。彼女たちに必要なのは、イライラを“放電”させてくれる相手。そして、自分を取り戻す、ひとりの時間をもらうこと。 そんなワンオペ育児のママ以上に、よその子と比べたり、世間体を口にする親(子どもの祖父母)をもつママには、もっと同情します。イライラをさらに加速させられるということだから。最近は若々しい60代70代も増えています。“若々しい”ついでに「親のような気持ち」で孫を抱く祖父母もいるように見えます。 ・他人の子や世間と比べて劣っていることを心配する ・親のしつけに意見する ・親以上に世間体を気にする ―これらは、いまだなお「親」のステージにいる祖父母たちの言動。「世間体を気にしてしつけをする」のは元来、親の役目で、しかも、21世紀には、やや控えめにしていくべきこと。祖父母の役割は、親をリラックスさせて、ブレーキをかける役どころなのに。 よその子と比べるのは、「孫を褒めるとき」のみ。親がよその子と比べて、孫のできないことを心配しても、それに乗っからないことです。
ESSEonline編集部