DeNA・伊勢大夢、大明神から先発に転向「投手としての価値を上げたい」 1750万円減の9250万円でサイン
DeNA・伊勢大夢投手(26)が12日、横浜市の球団事務所で契約交渉に臨み、会見の席で来季の先発挑戦を明言した。1750万円減の年俸9250万円(推定)で更改。勝ちパターンの一角として救援陣を支えてきた5年目の右腕は、投手としての価値の向上や新戦力が台頭してきたチーム事情を踏まえて決断した。ローテーションの柱を目指し、競争に挑む。 セットアッパーとして数々の修羅場をくぐり抜けてきた5年目の伊勢が、来季の先発挑戦を唐突に切り出した。かねて球団に希望を伝えており、尊重された。理由は明確だった。 「投手としての価値をもっと上げたい。それが一番強い」 1年目から救援を務めてきた右腕は、2022年に71試合で防御率1・72を記録。抜群の安定感を誇り、ファンの間で「伊勢大明神」の異名を取った。今季は不調で5月末から約2カ月半にわたり2軍で調整し、37試合で防御率3・62にとどまり、1750万円減の年俸9250万円で更改。通算100ホールドを挙げたものの、中継ぎで頭角を現した坂本、中川虎らが穴を埋め「彼らの方が魅力的に感じた」と率直に語った。 ポストシーズンでは9試合に登板し、無失点で日本一に貢献。先発、中継ぎ、抑えと分業制が確立した時代にリリーバーとして腕を振り続けてきたからこそ「試合をつくるピッチャーがもう一人いれば、後ろで投げる人間も楽」と実感を込める。今季12球団最多の183回を投げたエース左腕の東を引き合いに出し「左、右で引っ張るくらいの目標を持っている」と決意をにじませた。 球団からは先発枠の6番手を争うようでは中継ぎとして起用する意向を伝えられたという。課されたハードルは低くないが、実績を糧に乗り越える自信がある。「年々コントロールが良くなってきている。それは先発の方が生かせる。投げる体力はある」。通算238試合に登板し、先発は1年目の1試合。平良のけがに伴うショートスターターでの登板だった。武器とする持ち球の直球、スライダー、フォークボールに磨きをかけ、競争を勝ち抜く覚悟だ。 近年では摂津(ソフトバンク)、千賀(当時ソフトバンク)、山本(当時オリックス)らが救援から先発へ鮮やかな転身を遂げた。中でも摂津は1年目から中継ぎで2年続けて70試合以上に登板し、29歳のシーズンだった3年目から先発として5年連続で2桁勝利を挙げた。