「戒厳令の黒幕は大統領の飲み友達」「軍幹部は高校の後輩が多数」 “友達ばかりの作戦”は何を示しているのか
国会で政権与党が少数に甘んじる韓国で、唐突に宣布された戒厳令。非常事態は数時間で収拾をみたものの、国際社会におけるダメージは計り知れず。今回の戒厳令が尹大統領の「お仲間」ばかりで進められた事実は何を示しているのか……。 【写真を見る】「50代でこの美貌!」キム・ゴンヒ大統領夫人の整形ビフォー&アフター ***
韓国の憲法では、大統領の在職中は刑事訴追を免れるものの、内乱と外患の罪は例外で、逮捕も可能である。すでに野党は大統領と、非常戒厳を進言したとされる金龍顕(キムヨンヒョン)・前国防相(5日に辞任)を内乱罪で告発。金氏は8日、検察に身柄を拘束され、大統領にも出国禁止措置が取られている。 政権を担っているはずの大統領による“クーデター”。その黒幕たる金氏は、 「大統領とはソウル市にある名門・私立沖岩(チュンアム)高校の同窓で、金氏が1年先輩です」 とは、在韓ジャーナリストの金敬哲氏。 「金氏は高校時代、学徒護国団の団長をしていたといわれています。護国団とは学生による自警団のような組織で、いざ戦争になったら地域を守る役割を担います。幼い頃から愛国心が強く、北朝鮮に強い拒否感を持っていたのでしょう」
「国軍防諜司令官」は高校の後輩
卒業後は陸軍士官学校へ進学、陸軍では首都防衛司令部司令官や合同参謀本部作戦本部長を務め、 「頭が切れて人望もあったのですが、大将にはなれず2017年に中将で定年を迎えました。その後は検察官だった尹氏の飲み友達として交流を続け、22年に彼が大統領選に出馬した際には選挙陣営に入り、安保関係のアドバイスをしたとされています」(金敬哲氏) そのかいあって尹氏は当選。金氏は論功行賞とばかりに大統領警護処長に抜てきされた。これは大統領の親衛隊長というべきポジションで、毎日傍に控える、文字通りの側近である。そして、 「今年8月に突然、彼を国防相に任命するとの人事案が発表されます。その当初から“これはおかしい”との見方が出ていました。というのも軍の私服警官ともいえる『国軍防諜司令官』のポストにも、大統領は高校の後輩を充てている。また今回の騒動で軍を動かした首都防衛司令官や特殊戦司令官なども、みな尹氏の側近。数カ月前にこうした体制を作った頃から、非常戒厳を企んでいた可能性は大いにあります」(『悪韓論』の著者である評論家の室谷克実氏)