異常気象で高騰する果物価格、こたつでみかんも無理?スーパーの売り場に起きた異変
2024年のクリスマスケーキは、信用調査会社の帝国データバンクによると、23年に比べて3.4%の値上げになった。特にクリスマスシーズンを前に値上がりしたのが、デコレーションに欠かせないイチゴ。実のところ、今秋以降、果物は軒並み値上げとなった。猛暑をはじめとする地球温暖化による異常気象が影響している。今や、果物はかつてのように手軽に楽しめるものではなくなりつつあり、こたつでみかんを楽しむことも価格上昇のため難しくなりかねない。私たちが味わえる果物の未来はどうなってしまうのか。 【詳細な図や写真】図1:農産物価格指数(出典:農水省「農業物価指数(令和6年10月)-令和2年基準-」)
イチゴは2年連続で猛暑により値上げ
イチゴはクリスマスシーズンに入る前から、不足に伴う値上げが続いてきた。私自身、12月に入って、イチゴをあしらったケーキのカット技術の巧みさ、要はイチゴのかつてない薄さに驚かされた。イチゴが高騰する中で価格を維持するためのケーキ店の苦労がしのばれた。 イチゴは秋以降も続いた猛暑が影響して、供給が不足気味。需要はクリスマスシーズンに最も高まり、価格も上がるので、農家はこの時期に出荷できるよう調整する。それが温暖化で狙った時期に出荷できなくなっている。2023年も同じことが起きた。 果物は、収穫の秋に流通量が減って、価格が上がる。2023年からすでにあったこの流れが今年、輪をかけて進んだ。少なくないスーパーで、今秋以降、果物売り場は歯の抜けたような、スカスカした状態になっていた。 スーパーの売り場で「訳あり」と書かれた果物が多かったのも、今年の特徴だ。柿の実の日焼けや、猛暑によるリンゴの着色不良などを知らせるポップが目についた。 リンゴは昨年に続き今年も、猛暑で供給量が減り値上がりした。 柿は、猛暑による日焼けと、各地で大発生したカメムシの食害で、傷物が多かった。 年末にかけて需要の増えるみかんは、不作。 そもそも大産地が、今年は収穫量の少ない年に当たっていた。かんきつは、収穫量の多い表年と少ない裏年で差が出る「隔年結果」が起きやすい。今年は「裏年」だった。さらに、猛暑やカメムシの食害が重なり、ダメ押しになった。 温州みかんの出来が悪いだけではない。贈答用に引き合いのある「紅まどんな」といった中晩柑(ちゅうばんかん)も、高値で推移している。中晩柑とは温州ミカンの収穫が終わった1~5月ごろに出回るかんきつの総称だ。主産地の愛媛が不作である。