そんなチームを、熱いサポーターが支えた。所属する選手33人のうち23人は地域おこし協力隊員。日中、農作業の手伝いや公園の管理などの仕事をこなしており、地元住民らとの親交は厚い。

　熱烈な応援ぶりは観客数にも表れている。今季のホームゲームの平均観客数は1826人で、プロリーグであるWEリーグの昨季の平均観客数1723人を上回る。

　クラブの創設に携わった秋本範子代表は「（女子サッカーは）レベルが高くても、集客に苦しむ現状がある中、これだけの盛り上がりは選手にとって震えるほどやりがいのある環境だと思う」と語る。

　ヴィアマテラスのWEリーグ参入の見通しはまだ立っていないものの、人口約1万6000人の小さな町で生まれたクラブは、魅力的なサッカーと、地元に密着した活動で存在感を示している。

プロ「WEリーグ」参戦なるか

　2021年に国内初の女子プロサッカーリーグとして発足した「WEリーグ」は9月、4季目となる24―25年シーズンが開幕した。ただ、サポーターの裾野の拡大や、クラブの収益安定化に課題があり、軌道に乗っているとは言いがたい。

　今季からWEリーグのチェア（理事長）を兼ねるJリーグの野々村芳和チェアマンは「独立したリーグとしてやっていくには、リーグとクラブとパートナー、ファンの皆さんに集まってもらって、その仲間が増えないと難しい」と語る。

　WEリーグとなでしこリーグとの間に昇降格はなく、参入には、最低年俸が270万円のプロ契約選手を15人以上保有するといった条件がある。企業や大手Jクラブなどの後ろ盾を持たない地方のクラブにとってハードルは高い。

　現在、WEリーグには12クラブが所属するが、九州、山口、沖縄にはない。そんな中、ヴィアマテラス宮崎が将来的なWEリーグ参戦を目標に掲げており、動向に注目が集まる。