ホーム最終戦で競り合うヴィアマテラスの選手（右）ら（13日、宮崎県新富町で）＝石原拓海撮影

　今季のサッカー女子・なでしこリーグ1部で、ヴィアマテラス宮崎が初優勝を飾った。宮崎県新富町をホームタウンに、一足飛びで駆け上がってきたチームが、2020年の発足からわずか4年で国内アマチュアリーグの頂点に立った。（緒方裕明） 【写真】サポーターと記念撮影し、優勝を喜ぶヴィアマテラスの選手たち

　「優勝、おめでとう！！」。13日に行われたヴィアマテラスのホーム最終戦。新富町のいちご宮崎新富サッカー場は、クラブ史上最多の3479人の観客が詰めかけ、かつてない熱気に包まれた。

　前日に行われた試合で2位のチームが敗れた時点で、すでに優勝は決まっていたが、サポーターの声援に押されるように、オルカ鴨川FCを4―3の打ち合いの末に破り、快挙に花を添えた。

読売新聞

　発足翌年の21年に九州女子リーグ2部、22年に同1部を制した。23年にその上のなでしこ2部で優勝するまで、リーグ戦では無敗のまま昇格を続けた。なでしこ1部初挑戦だった今季も16勝1分け5敗と勢いは衰えなかった。

　チームの最大の武器は、圧倒的な攻撃力だ。就任3年目の水永翔馬監督は「アグレッシブ（攻撃的）にやるという狙いは、ずっと変わっていない」と力を込める。選手が次々とボールを追い抜いて前へ走り、手数をかけずにゴールへ向かう躍動感のあるサッカーを磨き上げてきた。

　主将を務めるFW嘉数飛鳥選手は、サイドから巧みなドリブルで多くのチャンスを演出。元日本代表のFW斉藤夕真選手が抜群の決定力を発揮した。エースは今季もリーグ2位の20得点を挙げ、優勝の原動力となった。

　斉藤選手は「（今季のチーム成績は）できすぎ」と冷静に受け止めつつも、「速いサッカーで押し込めた。うちの怖さ、強さが出せた」と振り返る。

　守備面も新たな手を打った。スピードが持ち味の攻撃的MF永野桃子選手をDFにコンバート。前掛かりになって空いた自陣のスペースを永野選手の的確なカバーリングで埋め、失点を減らした。指揮官は「我々が要求したことをしっかりやってくれて、非常に助かった」と奮闘ぶりをたたえた。