「完璧すぎるハンターカブ」もはや似て非なるもの? 超人気ホンダ「CT125」で雨の林道へ突っ込んでみたら
雨の中で林道へ突っ込もうとした結果
東京都心部から甲州街道を八王子あたりまで走り、のちに新奥多摩街道に入ると、何やら雲行きが怪しくなってきました。そしてポツリポツリと雨が「CT125」の真っ赤なボディに落ちてきます。 「雨の奥多摩……イヤだ」と思う一方、もはや引き返すわけにはいきません。途中コンビニで簡易的なレインコートを買い、そのまま青梅を抜けて奥多摩エリアに入り、国道411号へ。土砂振りではないものの、周囲をびっしり雨雲が覆う中、「CT125」でトコトコ前進することに。 ご存知の通り、奥多摩は延々とカーブが続きますが、「CT125」は濡れた路面でも比較的グリップが良く、ドシっとした足つきでカーブを潜り抜けてくれます。「CT125」はガソリンタンクがシート下にあるため、ガソリンタンクをニーグリップしてのコーナリングはできませんが、それでも十分な安定感。この点も「CT125」の素晴らしさだと思いました。 さて、国道411号をさらに進むと、やがて左手に奥多摩湖が見え、さらにその先に真っ赤なアーチの「峰谷橋」が見えてきます。この赤い橋が「CT125」のレッドとも合っていると思いながら、さらにその先の脇道を入り、「麦山線林道」を目指すことにしました。 ここは途中までが舗装道ですが、急勾配で歩くのも一苦労。それでも「CT125」のトルクフルな安定感で、難なく林道手前まで登りきることができました。 しかし、ここで予想しないことが。林道の入り口に「立ち入り禁止」の看板が掲げられています。また、この入り口付近は舗装道の角度が不均等で、ちょっと移動するだけで、角度が変わり、また濡れた枯葉でタイヤがスルスル滑ります。 そのため、ハンドルを切ろうと力を入れれば、スロットルを意図せず吹き上げてしまうことがあり、思わず借りた「CT125」を倒してしまいそうになりました。
うーんやっぱり「似て非なるものだ」
しばし足を踏ん張り「倒すまい」としながらも、ハンドルを両手から離せば、また「変な力」が加わり、スロットルを吹き上げてしまいそうです。 この点だけを言えば、先代モデルの「CT110」には指先でエンジンを切ることができるキルスイッチと、フロントブレーキレバーをロックできるシステムが標準装備されていました。また勾配の厳しい悪路での走行用に「副変速機」もありました。 現状の「CT125」には搭載されていない機能のため(キルスイッチはカスタムパーツの販売あり)、「CT125」でオフロードで楽しむ場合は特に注意すべき点だとも思いました。 ここまでの「CT125」の印象をまとめると、街乗りでは「CT110」とは比較できないほどの安定性とレスポンス、ディスクブレーキによる制動性能があり、同等クラスのバイクの中では群を抜いて乗りやすいバイクだと思いました。 一方、「CT110」の特長でもあった「悪路での走破性」は「CT125」にはほとんど受け継がれておらず「CT110」と「CT125」は似て非なるバイクだとも感じました。 もちろん、どちらが優れて、どちらが劣るというわけではありませんし、あくまでも街乗りでの性能を求めるのであれば「CT125」は完璧なバイク。その乗り味を持って、後に雨がジャンジャン降り始めた奥多摩でも安定した走りで戻ってくることができました。 この年末には「CT125」の新型「2025年モデル」発売も発表されました。今回の試乗で「CT125」の安定感を体感し、次なるゲタ車を「CT125」にしようかと気持ちが揺らぎ始めているところです。
松田義人(ライター・編集者)