なぜ大谷翔平がマークした9勝目をエ軍のマドン監督は「私が見てきた中での最高投球のひとつ」と絶賛したのか?
一方、大谷を完全攻略できなかったレンジャーズのクリス・ウッドワード監督も同サイトの取材にこんなコメントを残した。 「彼は必要なときに100マイル(約161キロ)を数回投げていた。彼は本当に優れた選手だ。彼はいつもマウンド上で組み立てた投球を実行する。決め球をしっかりと投げる。そして素晴らしい球を持っている」 脱帽だ。 同サイトは、「この登板は8月28日のパドレス戦で右手首に93マイル(約150キロ)の直球を受けたため、本来火曜日(31日)に予定されていたヤンキース戦の登板を3日ずらした。そのことが大谷にとって良い兆候となった。故障の影響もなかった」と触れ、暗に8月18日のタイガース戦以来、中15日間の休養が、161キロ連発につながったとの見方を示した。 大谷は、打者としては4打数0安打に終わったが同サイトによると、内野ゴロ(の2打席)で打球速度101.2マイル(約163キロ)と105.7マイル(約170キロ)を記録。「同じ試合で100マイル(約161キロ)以上を複数回投げ、打球速度100マイル以上で複数回打球を放ったただ一人の選手となった」との記録を作ったという。 地元のロサンゼルスタイムズ紙は、「大谷はアメリカン・リーグのMVPをすでに確実としたように見える。彼は依然としてメジャーリーグで本塁打数を他の選手よりも3本リードしている。そして彼はシーズンを通して二刀流でのプレーを実行する可能性についてあった疑念をずっと以前に打ち消していた。プレーオフ争いから外れたエンゼルスチームにとって残された1カ月で、大谷は何を達成できるだろうか?」と書き出した。そして、「マドン監督は、いくつかの考えを持っている」とし、そのコメントを紹介した。 「イニングを積み重ね、長く持ちこたえマウンドに残る。彼がこのすべてを健康面の上から完結できることを願っている。彼と我々の来年にとって恩恵をもたらすだろう」 マドン監督は、大谷が9勝目を成し遂げる前日の会見で、そんなプランを口にしたという。 そして「(マドン監督がそう語った)数時間後に大谷は、呼応するかおようにレンジャーズ相手に3-2の勝利をエンゼルスにもたらし、また記憶に残る二刀流のパフォーマンスで輝いてみせた」と称賛した。同紙も「彼は球速3桁に到達した4月4日以来、初めて100マイル(約161キロ)の直球を2度投げた」と161キロをマークしたことに注目。「8奪三振2失点の力強い7イニングの投球を完結させただけでなく、彼とマドン監督が将来につながることを望むキャリア最多となる投球数となる117球を投げた」と、その球数を評価した。 オレンジカウンティ・レジスター紙は「大谷がエンゼルスの勝利に貢献しキャリア最多の117球を投じる」との見出しを取り、その球数に焦点を当てた。記事は「マドン監督は大谷に長く投げさせたことが長期的な恩恵を大谷にもたらすだろうと感じていると語った」とした上で、「あのように長く試合で投げることを私は好んでいる。彼が長いイニングで後半にピンチを逃れて良い球を投げたとき、それはゆくゆく彼にとって何かをもたらすことになる。これは彼にとって明らかに成長の時間となった」というマドン監督の談話を紹介した。 「マドン監督は『前回登板で84球しか投げていなかったため、大谷に長いイニングを投げさせたかった』と語った。大谷は、8月28日のパドレス戦で死球を受け痛めた右手首を治療するため、(中15日)の休みがあった」と続け、117球を投げることができた背景を説明していた。 これで大谷の投手成績は、防御率2.97、(投手指標の)WHIPは1.07、9イニングあたりの奪三振数は10.8となり、打撃成績は、打率.258、出塁率.358、長打率.612で、MLBトップの42本塁打となった。ポストシーズン参加が絶望のエンゼルスの残り試合が少なくなり大谷の登板機会も限られているが、王手をかけた「2桁勝利&2桁本塁打」の偉業はスンナリと達成してしまいそうだ。