マグロ資源の危機 経済合理性の追求では持続的資源活用は難しい
また、太平洋クロマグロだけに限定すれば、22年の世界全体の漁獲量1.7万トンのうち、日本の漁獲量は1.0万トンと5割以上を占める。日本のクロマグロ消費量がいかに大きいかが分かるだろう。 日本がいかにマグロ資源の持続可能性に取り組むかが、世界全体のマグロ資源の保全に大きな影響を与えることとなる。 ◇一網打尽の巻き網漁 マグロ資源の持続可能性を考えた時、一つの重要なポイントとなるのが、マグロの漁法だ。代表的な二つの漁法(イメージ図)がある。このうち巻き網漁は魚を大量に捕獲する方法で効率性に優れるが、魚を根こそぎ捕獲してしまう。特に資源減少が危惧されるマグロ類に関しては、この漁獲法への依存が資源の持続可能性を損なう危険性も否定できない。 一方のはえ縄漁は、基本的には大きな釣り針で釣る漁法なので、一定の大きさ以上の魚しか捕獲できない。巻き網漁に比べ効率は劣るものの、資源の持続可能性の観点からはメリットがある。 マグロ漁は近年、巻き網漁が多くを占める。水産庁資料によると、22年の日本の大型魚・小型魚別の漁獲状況は、巻き網漁4702トンに対し、はえ縄漁は1587トンとなっている。経済合理性の追求だけでは、マグロ資源の持続的な活用は難しい。 (和田肇〈わだ・はじめ〉編集部)