竹中平蔵「TBS『報道特集』は全然報道やっていない」…いいね!を求めたテレビの末路「電波の数は減らせる」公共性はあるのか
クロスオーナーシップと経営者の理解不足
そもそも電波を新聞社に割り当てたのは田中角栄です。これは誰かよくわからない人に公共電波を任すよりもすでにある程度実績と信頼がある新聞社にジャーナリズムを担わせることに安心感があったからだという意見もありますが、やっぱりある程度新聞社を手名付けるために電波を割り当てたのではないかと思っています。そう考えると日本のテレビ局はそのスタート時点からして癒着から始まっています。 クロスオーナーシップの問題点はもう一つあります。それは経営者の理解不足です。私の総務大臣時代(2005年~2006年)のことです。これからは放送と通信の融合の時代だと考え、キー局の社長全員と1対1で会いました。しかし、会ってみてわかったのは、放送と通信の融合についてちゃんと理解できている人は、ある一人の社長を除いて誰もいませんでした。キー局の社長とは新聞社出身の方が務めるものだったのですね。当然放送に対する理解度も十分ではないのです。 当時このままではテレビ局の経営は悪くなると感じましたが、まさしくその通りになりました。地方局では統廃合が進んでいますし、キー局も若手社員が多く離職しています。
放送法を改正するしかない、電波の数は減らせる
この状況を打開するためには、放送法は改正するべきだとも思っています。テレビ局の電波に対する独占意識は是正する必要がるのではないでしょうか。アメリカや韓国など諸外国では、電波を公共物ととらえ、テレビ局の自社制作番組だけで構成するのではなく、放送事業者ではないものがつくったコンテンツを、一定量流すことを法律で定めていました。アメリカではフィンシン・ルールといいます。これによってコンテンツ産業の成長を促すこともできます。私は日本版フィンシン・ルールの導入もテレビ各局に提案しましたが、それも拒否されました。自分たち以外のコンテンツ産業を排除したのです。そしてNHKは今も海外ドラマや野球中継を、公共電波を使って放送しています。日本のテレビ局には公共意識は米韓と比べると低いと言わざるをえません。 果たしてそんなテレビ局が公共物である電波を渡すにふさわしいのでしょうか。彼らの特権となってしまっている電波ですが、もし電波のオークションをすればもっといいコンテンツを出せる会社が入ってくるかもしれません。そして、こんな高い電波払えないと撤退するところも出てくるでしょう。
NHKの規模縮小は必要
技術が高まって圧縮できるようにもなったので、空いた部分を通信に割り当てる、といったこともできます。 最終的にそれを決める判断は総務省にあります。国が決断すればできるのです。「技術的にこんなに電波いらないでしょ」と冷静に、今の国民のニーズにあった電波の利用方法を実施してほしく思います。 またNHKの規模縮小は必要です。先述の通りプロ野球中継をするのであれば、もっと電波の数を減らしていいはずです。そして民法も独立性がなく、どこも安上り同じような番組ばかり放送している現状からしてこんなにたくさん必要ないのではないでしょうか。
竹中 平蔵
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