「更年期だと思ったら心臓病だった」死を目の当たりにして気づいた、人生の優先順位
ラクで心地いいことにお金を使うと決意
以来、村井さんは“自分ファースト”を心がけるようになったという。 「仕事以外では、イヤなことは断るようになり、自分を大事にするようになりました。物持ちがいいタイプだったのですが、不必要なものはすべて捨て、自分がラクに心地よく過ごせる持ち物や手段にお金をかけるようになりました。 だから、新幹線は迷わずグリーン車に乗りますし、仕事で泊まるのはちょっといいホテルです。そういったことに稼ぎを全部使っているので、貯金はゼロですが(笑)」 金銭面でいえば、心臓病を機に日本の国民皆保険制度の素晴らしさを実感したそうだ。 「手術費用だけでも請求額が700万~800万円で、入院費や薬代、術後の通院などを含めると1千万円程度はかかっていると思います。でもありがたいことに、自己負担額は10万円で済みました」 村井さんはもともと頑張り屋気質で、ひとりで何でも解決したい性格だったという。 「今回の病気ではこの性格が裏目に出て、発見が遅れました。担当の先生によれば、『女性は男性に比べて我慢強い』のだそうです。みなさんにおすすめしたいのは、仲のいい女友達と一緒に健康診断を受けること。 女性にとって女友達というのは偉大な存在ですから、一緒なら動機づけになるのではないでしょうか。病気の早期発見・早期治療のために、後回しにせず受けてほしいです」 村井理子さん●翻訳家、エッセイスト。1970年静岡県生まれ。琵琶湖のほとりで夫と双子の息子と暮らす。著書に『更年期障害だと思ってたら重病だった話』(中央公論新社)、『犬(きみ)がいるから』(亜紀書房)ほか多数。 取材・文/熊谷あづさ