「仕事のできないダメ上司」が、部下に話す時ウッカリやっているNG行動とは?
上司から部下に指示を出す時はAという目的だけ伝え指示するのではなく、Bというタスクにおけるリスクを伝え、Cという過去の成功例や失敗例を伝え、Dという成功時の達成感を伝え、Eという部下に対する期待度を伝える。 このような説明を交えて指示が出せると、部下もAというミッションに対して動きやすくなるとともに、高いモチベーションで頑張れるのではないでしょうか。 指導者が伝え方を熟知しているかどうかによって、周りの人たちの動きやすさが格段に変わってくる。30年間の教師経験や指導経験で培った言語スキルは、プロサッカーの世界でも生かされる。人と人とが関係している現場では、求められるスキルはどこも同じなのです。 ● 勝てないチームの指導者ほど言う 「話を聞いていない選手が悪い」 言語化といっても、ただ言葉にするのではなく、多角的な視点で考え、発言するべきだと考えます。重要なのは、話したい人と聞きたい人のタイミングがぴったり合っていること、そして話をする人の話の内容が、相手の聞きたい内容や期待値を上回っていくことです。 さらには聞きやすさも含めて、上手く話す人というのはタイミングと内容のポイントをしっかり押さえています。大事なのは自分が何を伝えたいかだけでなく、伝えたいことを相手が聞きたいポイントから逸脱せずに伝えていくことです。
相手が何を聞きたいか、どのように聞きたいか、どんなメッセージが心に響くか。そしてタイミングを逃さないことです。そうすると、相手からも興味深く積極的に聞いてもらえるでしょう。 選手の指導において、自分の感じた要点だけをしっかり伝えたから、自分は「説明責任を果たした」「十分理解させた」と思っている指導者がよくいます。しかし精神的に心が安定せず聞ける状態になっていない相手に、一方的に自分の言葉だけを発して良いことを言っても情報としてなかなか入っていくものではありません。 「伝えた」ということに満足して、伝わっていないのは「話を聞いていない選手が悪い」と強く主張する指導者もいるようです。こういった指導者のもとではチームは何も変わりませんし、肝心なところで勝てないチームの典型でもあります。指導者的立場の人はそのことを十分認識しておくことが大事だと思います。 選手対象のミーティングでは、「自分だったらこう聞きたい」「このメッセージなら理解しやすい」「この言葉なら士気が上がる」など、そんなことを頭で整理してタイミングよく伝えていきます。 そして今、最も「響きやすい言葉」を選択して的確に伝えることが大切だと感じています。教師の頃からそういったことを心がけて、生徒と接していたので、今の自分のなかでは特に難しいことではなくスタンダードになっています。
黒田 剛