“膣の緩み”から夫婦生活が破綻?…医師に聞く女性特有のカラダの悩みと産後ケア
◆膣収縮手術後の傷跡はほぼ残らない 一方で出産は難産になるケースも
──膣の緩みの改善は、具体的にどのような手術を行うのでしょうか。 「膣というのは7~8センチの筒のような形状をしています。簡単に言うと、この筒に切開を加えて縫い縮めるのが手術の内容です。目安としては、おおむね指2本を入れて窮屈に感じる程度にまで筒を狭くします」 ──デリケートな部分だけに、とても痛そうです。 「もちろん麻酔はしますが、先ほども申しましたように女性器というのは意外に頑丈なんですね。何しろ赤ちゃんが通るくらいですから。また血流も良い場所なので、手術跡も非常に綺麗に治ります。ただし切開はしていますので、術後しばらくは繊細に扱ってください。性行為も1ヵ月ほどは控えていただくよう、お願いしています」 ──手術のリスクはありますか? 「まず美容医療に限らず、どんな外科手術でもリスクゼロということはあり得ません。ただそれは『絶対に飛行機事故に合わない』とは言い切れないのと同じ話であって、だからこそ外科医は最大限の緊張感を持って仕事をしているわけです。もちろん万が一の事態にも備えています。共立美容外科では、そうしたリスクとリスクヘッジについてはカウンセリングでもお話ししていますので、納得されたら手術に進んでいただければ良いのかなと思います」 ──そのほか留意しておくべきことはありますか? 「膣収縮手術というのは、いわば産道を狭くする手術です。ですから、この手術を受けた後に妊娠・出産される場合は、難産になる可能性があります。帝王切開を検討された方が良いかもしれません。そのためか、この手術をご希望されるのは、その後の妊娠をご希望されていない、30代以上の経産婦の方がほとんどです」
◆膣トレーニングやエクササイズでは、根本的な改善には至らない
──膣トレーニングというのを聞いたこともあります。一度緩んで締まった場合、筋力トレーニングやエクササイズなどの保存療法では、出産前に戻すことは不可能なのでしょうか? 「骨格筋(平滑筋)はトレーニングで鍛えられるのですが、 内臓筋はトレーニングでは鍛えられません。例えば、心臓の筋肉がそれにあたりますが、長距離を走るアスリートが、鍛えられないわけではないので、全く意味がないとも言えません。ですが、膣トレーニングをやっても、改善度合いは1割程度でしょう。また、トレーニングというよりは、本来持っている資質の問題にもよります。もちろん、トレーニングやマッサージも無駄とは言いませんが、根本的に改善させたいのであれば、婦人科形成ということになります」 ──術後、患者さんからはどのような声がありますか? 「それがこの領域に関しては、ほぼ一期一会なんです。ようは1回限りでリピーターというのは、ほとんどいないんですね。私も20年以上のキャリアがありますが、術後の声もあまり聞いたことがありません。逆を言えば、ほとんどの方が、ご満足されているのではないかと思います。やはりデリケートな部分の話ですから、カウンセリング、手術、アフターケア、いずれにおいても患者さんの自尊心や羞恥心を傷つけない配慮は常に心がけています」 ──昔と今とで婦人科形成の需要はどのように変わりましたか? 「昭和の頃は、処女膜再生という手術のニーズが高かったのですが、今はほとんどありません。それだけ世間体を気にするより、肉体的にも精神的にも自信を持って生きたいという個人のニーズが高まっているのだと思います。現在、婦人科形成で最も多いのは冒頭で申しました(1)女性器の見た目の改善です」 ──婦人科形成を検討されている方にお伝えしたいことはありますか? 「目や鼻の美容医療は、昔に比べて一般的になりましたが、婦人科形成は今も人知れず深刻に悩みを抱えている方が多い領域です。だからこそ共立美容外科では、患者さんが鉢合わせしないように配慮するなど、プライバシーは徹底して厳守しています。また医者の性別のご希望も受けています。1人で悩んでおられるよりも、まずはカウンセリングを受けていただければと思います」 (文/児玉澄子)