「キャプテン翼」で3人に1人がアニメオタクに…中東の大国が「アメリカより、中国より、日本」を選ぶ理由
■少子高齢化が進む日本が躍進するために必要なこと アニメというコンテンツを通じて日本の子どもたちもサウジアラビアや中東地域の文化に興味を持つケースが増えることは間違いない。サウジアラビアを起点とした日本の中長期的な中東地域との文化交流戦略立案も十分に考えられる。 著しい少子高齢化によって衰えた日本が再び大国として躍進するためには、爆発的に人口が増加するイスラム圏の人々と友好関係を構築することが重要だ。日本に彼らが持つ若さと勢いを取り込むことは、日本の中長期的な発展に欠かすことができないものとなるだろう。 しかし、厳格な宗教意識を持たない日本人とイスラム教に従うムスリムの人々の間には、文化的な溝があることも否定できない。今後、人的交流が増えていく中で、さまざまな課題が顕在化していくことも予想にかたくない。 だからこそ、その際の共通基盤として、アイドルやアニメなどの日本から発信される娯楽コンテンツによるソフトパワーは重要な位置づけを持つ。また、われわれ日本人にとっても異文化を吸収するためには、自国の娯楽コンテンツを通じたやり方のほうが容易である。 イスラム圏が日本の娯楽コンテンツであふれかえる世界、そのような楽しい世界の状況を作り出すことが実は日本の次代の繁栄の礎になるだろう。 ---------- 渡瀬 裕哉(わたせ・ゆうや) 早稲田大学公共政策研究所 招聘研究員 パシフィック・アライアンス総研所長。1981年東京都生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。創業メンバーとして立ち上げたIT企業が一部上場企業にM&Aされてグループ会社取締役として従事。著書に『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか アメリカから世界に拡散する格差と分断の構図』(すばる舎)などがある。 ----------
早稲田大学公共政策研究所 招聘研究員 渡瀬 裕哉