米メルクの肺動脈性肺高血圧症の新薬、FDA承認-売上高に期待
(ブルームバーグ): 米食品医薬品局(FDA)は、米メルクの医薬品を肺動脈性肺高血圧症(PAH)の新たな治療薬として承認した。メルクの主力医薬品の販売が2020年代中に減少し始める見通しだが、新薬が同社のヒット商品になると期待されている。
FDAウェブサイトに掲載された情報によると、「ソタテルセプト(sotatercept)」として知られるこの医薬品は、「Winrevair」の製品名で販売される。
メルクによれば、コストは1バイアル当たり1万4000ドル(210万円)で、3週間ごとに摂取する。年間では約24万2000ドルの費用がかかる計算だ。ただ一部の患者はもっと多くの摂取が必要になる。
今回の承認は、メルクが主力のがん免疫療法薬「キイトルーダ」を排他的に販売できる権利を20年代終盤に失う状況に備えながら、心疾患や代謝性疾患の治療薬開発を強化する取り組みにとって重要だ。キイトルーダの昨年の売上高は250億ドルと、メルクの売上高全体の4割強を占めた。
Winrevairはそのギャップを埋める一助になると期待されている。PAHは肺の血圧が危険なほど上昇する病気で、高齢者や女性、黒人に多い。多くの治療法がある一方で、十分な効果が得られない患者もおり、Winrevairは併用での使用が認めらている。
メルクの株価は26日、通常取引終了後の時間外取引で一時5%上昇した。年初から26日終値までの騰落率はプラス15%。
ジェフリーズのアナリストが試算したピーク時の年間売上高は75億ドルで、ブルームバーグ調査のアナリスト予想平均は34年に約47億ドル。メルクは具体的な売上高予測を示していないが、ロバート・デービス最高経営責任者(CEO)は「数十億ドル規模の医薬品」になる見込みだと述べた。
同医薬品は自己投与として承認されたことで、患者は数週間ごとに診療所に通う必要はなく、自宅で摂取できる。
メルクは21年にアクセレロン・ファーマを買収したことで、ソタテルセプトを傘下に収めることとなった。