掛布氏が緊急提言! 今阪神が成すべきことは何か?
「打ってはいけないストライク」に手を出すな
阪神のチーム得点は、セ・リーグの最下位だ。打線は弱い。なぜ打てないのか。そこにはひとつの特色がある。打者が、4打席なら4打席、同じようなパターンで攻められ、同じように凡退しているということ。バッティングには、「打っていいストライク」と「打ってはいけないストライク」があるのだが、阪神の打者は初球から、その「打ってはいけないストライク」に手を出して、ファウル、もしくは凡退している。 例え、ファウルになっても、ストライクをひとつ取られると、もうまるでツーストライクに追い込まれたように打席での余裕がなくなる。しかも「打ってはいけないストライク」に手を出すと、微妙に打撃フォームが崩れる。その状態では、相手投手が失投しても、その絶好球を仕留めることができない。 これは、初球だけでなく、3-1か2-1というバッティングカウントでも見られる傾向だ。「打ってはいけないストライク」に手を出して、逆に投手有利のカウントに変えてしまっているのである。 とにかくボールの見極めができず工夫がない。バッテリーにわからぬように少しバットを短く持ってみたり、スイングをコンパクトにするなどの修正が見えないのだ。 通常、1試合で4打席立てば、15球から20球は、相手投手に投げさせることになる。カープのマエケンのようなエース級の投手でも、必ず、その中に2球から3球の失投がある。4打席のトータルの中で、その2、3球の失投を仕留めるんだ!という余裕が欲しい。1打席、1打席、追い詰められたような勝負をしているから「打ってはいけないストライク」に手を出すのである。 また、技術的に言えば、阪神の打者は、速いボールに弱く、スイングの途中で変化に対応できる人も少ない。つまりバットコントロール力に欠けている。一度、スイングをし始めると、もう何もできないので、「打ってはいけないストライク」に対応することに苦労するのだ。ホームランのシーズン最多日本記録を更新したバレンティンなどは、対照的にストレート狙いであっても、スイングを途中で修正して変化球に対応できている。これらにも、日頃のバッティング練習の中で対策は可能だ。あえて窮屈なバッティングをしてみるなど、対応力をアップさせるトレーニングはあるのだ。 勝利のための形を作り、そして、その形で結果を出すためのバッティング技術を手にすること。2位の阪神が、クライマックスシリーズに臨むまでの戦いの中で、イメージしておくべきことである。 (文責・掛布雅之/構成・本郷陽一)