掛布氏が緊急提言! 今阪神が成すべきことは何か?
今すべきことはなにか?
巨人のマジックが1となった今、2位の阪神がすべきことは何か? ファンに納得してもらうには、クライマックスシリーズを勝ち抜き、そこで再び巨人に挑み、“下克上日本一”を勝ち取ることしかない。しかし、今の阪神の戦いぶりを見る限り、クライマックスシリーズを勝ち抜くために「今すべきこと」が見えないのである。 和田監督以下、首脳陣は、選手に来るクライマックスシリーズでは、「こういう戦い方をして勝つ!だから、今、それに向けてこういう野球をするんだ」というコンセプトを説明して、ハッキリとしたカラーを打ち出すべきである。それでなければ選手のモチベーションを再び持ち上げることが難しくなると思う。
得点力を向上のため機動力を生かす
では、今、何をすべきなのか? 阪神が勝つための野球は説明するまでもない。チーム防御率は、3.01。9月上旬に巨人に大量失点するまでは2点台だった。つまり3点を取れば負けないチームだ。ならば3点を取る野球の確率を高めたい。私は、一死二塁、もしくは一死三塁という形にこだわり、そのスコアリングポジションを執拗に何度も何度も作ることにチャレンジすべきだと考えている。得点力、すなわち長打力とタイムリーに欠けているチームだけに、なおさら「1本出れば1点」という形を作っておきたいのだ。 巨人のような打線の節目に長打の期待できるバッターが並ぶチームならば、一死一塁からも攻めることができるし、一死二塁にして、一塁ベースを空けると、ポイントゲッターが勝負を避けられるリスクを負う。だが、阪神の打線には一発を警戒する打者はいない。しかしそれを、角度を変えて見れば、1番から4番まで足を使えるバッターが並んでいるとも考えられる。機動力を使って、一死二塁、もしくは一死三塁のシチュエーションを作ればいいのである。巨人の阿部にしても、足で崩されればリズムを失い、阪神が流れを引き寄せることが可能かもしれない。だが、クライマックスという一発勝負の緊張する舞台で「走れ!」とサインを送ってもなかなか簡単に走れるものではない。来る日に備えて今から「走るクセ」を付けておく必要があるだろう。 また、私は、バントという手段をもっと大事にして欲しいと思う。特に2番打者とピッチャーの打順においては、確実に送りたい。だが、ここに抜擢される俊介や、ピッチャーのバント失敗が目立つ。技術的な修正も、もちろんだが、ベンチが迷いを見せず「バントで送るんだ」という意志を選手に伝え、選手の責任感を高める必要もある。 野球は1試合に3度チャンスがあると言われている。それを4度、5度に広げ、一死二塁、一死三塁の形さえ作っておけば、そこから先はバッターの責任と技量である。