言葉が爆発的に増える時期を見逃すな!子どもの語彙力のために親ができること
語彙が爆発的に増える時期を逃さない
なぜ、子どもの時期に語彙力を身につけてほしいかというと、知識の吸収度が非常に高いからです。子ども時代というのは、人格の形成期であることもあいまって、言葉の浸透が速くて深いのです。 私自身のことを思い起こしてみれば、子ども時代に好きだったマンガのセリフは、ほとんど暗記していました。覚えようと思って覚えたわけではありません。好きで、何度も読んでいるうちに、頭に定着していたという感じです。何十年も経った今でも、ふと口をついて出てくることがあるくらいです。 間近で子どもを見ていると驚くのですが、記憶する単語量が爆発的に増える時期というのがあるんですね。小学生はまさにその時期で、だからこそ学校で新しい漢字や九九を習ったりするのです。 語彙に関しても、出会いがあれば確実に増えていきます。好きなマンガに出会った私のように、出会った言葉はことごとく吸収していく。本書を活用して、語彙を育んでいきましょう。
受け答えの力を育もう
親の立場では、子どもが親元を離れて社会に出た時に、豊かな人間関係を築いて幸せに暮らしてほしいと願うと思います。豊かな人間関係のポイントとして、コミュニケーションが占める割合は大きいでしょう。そのコミュニケーションを支えているのは言葉。語彙力です。 もし、日常的に粗雑な言葉を使い、単純な語彙しか持っていなかったら、穏やかな人間関係を紡つむぐのは難しいでしょう。逆に、語彙力があっていい人間関係に恵まれているのに人の道を踏み外すということは、まずないのではないでしょうか。 コミュニケーションがうまくいかない時に感じることの1つに、「話が通じない」状況があります。おもしろいと思うポイントが違う、好きなものが違うというのは、好みや傾向の違いであって、「話が通じない」とは異なります。好みが違うのであれば、「それのどこが好きなの?」と興味をもって聞き、互いの好みを尊重しあえればいいのです。 話が通じないのは、自分の意図が伝わらないということです。「昨日見たドラマがおもしろかった」という話をしているのに、ドラマとは無関係の話をされてしまっては、会話になりません。「いま、その話をしているんじゃないんだけど……」と心の中で思われてしまいます。「この人と一緒に何かするのキツイかもなあ」と感じさせてしまうことにもなります。 話が通じているかどうかは、受け答えの言葉でわかります。通じていない場合は、言葉自体がズレています。中学校受験の面接などでもそうならないように、日々の会話でも受け答えの力を育むことを意識しておきましょう。 今回紹介したのはこちら 『親子で楽しく考える力が身につく! 子どもの語彙力の育て方』 齋藤 孝 著/KADOKAWA 著者プロフィール 齋藤 孝 1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。著書に、『だれでも書ける最高の読書感想文』『三色ボールペンで読む日本語』『呼吸入門』(以上、角川文庫)、『語彙力こそが教養である』『上機嫌の作法』『三色ボールペン情報活用術』(以上、角川新書)、『声に出して読みたい日本語』(草思社)『『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)など多数。