急な進路変更で混乱も 商品品薄、影響続く 台風10号通過の奄美大島
台風10号が鹿児島県奄美群島から遠ざかった29日、台風の暴風域に巻き込まれた奄美大島では、営業を再開したスーパーや小売店を訪れて物資を買い求める人々の姿が見られた。一方、海、空の便の乱れは依然として続いており、生鮮食品や乳製品の品薄状態が続いている。台風の進路が急に変わったため、多くの店舗で仕入れに混乱が生じ、25日を最後に入荷が止まったまま。物流への影響長期化も予想され、各店とも入荷再開は31日ごろを見込んでいる。 奄美市名瀬のいずみストアーは27日午後5時半ごろから28日午後10時ごろまで、30時間近く停電。多数の冷蔵、冷凍商品の廃棄を余儀なくされた。泉浩二代表(53)は「生鮮食品や乳製品の棚は台風前にガラガラに。お客さまが求めているものがない状況で心苦しい。台風の進路が直前まで見えなかったので、発注に手の打ちようがなかった」と吐露した。 龍郷町大勝のスーパー「ま~さん市場」の岡山宗生店長(40)は「停電の影響は少なく、休まず営業時間をずらして対応した。台風の予想進路が急に変わったことで、入荷が突然ストップした。葉物野菜や乳製品は品薄だが、土物野菜や長く保存できるロングライフパンなどは店頭に並んでいる」と語った。 3歳の娘を連れて奄美市名瀬のスーパーで買い物をしていた久保真理子さん(43)は「乳製品を買いに来たがやはり無かった。食材は何とか冷蔵庫のストックでしのぎたい」と話した。 奄美大島を離発着する空の便も、大都市圏や群島内の離島を結ぶ路線で運航を再開。27、28の両日閉鎖していた奄美市笠利町の奄美空港ターミナルビルでは、手続きやキャンセル待ちをする利用者の姿が見られた。 大阪府から観光で訪れていた10代と20代の女性3人は28日に帰る予定だったが、欠航のため延泊。29日午前9時の時点で2人の席が確保できず、キャンセル待ちを強いられ、「先の予定もあり、無事に席が取れることを祈る」と願った。