電動キックボードが嫌われる「本当の理由」とは? 大学教授が解説、規制緩和がもたらす都市交通の「多重的なジレンマ」とは
電動キックボードの挑戦
電動キックボードは ・出発地/目的地と中継地(駅やバス停、駐車場など) ・車道と歩道 ・バイクと自転車 ・情報空間と現実空間 の間にあるモビリティだ。建物の隙間をポートとして再構築し、それをつなげていく電動キックボードは、さまざまな空間や制度、技術の間を揺れ動きながら、現代都市に新たな空間と体験を創出しようとしている。 戦前から続く鉄道を基盤にした都市構造や、高度経済成長以降のモータリゼーションのなかで浮上した自転車に関する問題(駐輪、事故、迷惑行為など)、そして近年のシェアサイクルの試みの困難を考慮すれば、その挑戦は重要である。 しかし、このように切り開かれた都市の中間領域は、まだ安定したトラック(筋道)にはなっていない。だからこそ、批判も多いのだろう。ここまで広がった現状では、すぐに消えてしまうことは考えにくいが、踏み固められた道筋になるかどうかはまだ不透明だ。
田中大介(社会学者)