【選手権】帝京MF砂押主将「選手権優勝というものを、弟か帝京に成し遂げてもらいたい」
1月2日、第103回全国高校サッカー選手権の3回戦が行われ、1991年以来、33年ぶりの優勝を目指した帝京(東京B)は終盤に追い付く意地を見せたが、PK戦で明秀日立(茨城)に敗れベスト16で大会を去った。 【フォトギャラリー】3回戦第2試合風景 MF8砂押大翔(3年)を中心に試合開始からボールを繋ぐ自分たちのサッカーを展開した帝京。それでも豊富な運動量が武器の明秀日立にカウンターを受ける場面もあった。先行さえできれば問題はなかったが、押し込みながらも先制点を奪えずに前半を終えた。 すると後半開始直後の41分、CKから失点。必要だった先制点を相手に奪われてしまった。ビハインドとなったことで、さらに状況は悪化。攻めたい気持ちが裏目に出て逆にピンチを多く招いた。それでもGK1大橋藍(3年)を中心に守備陣が踏ん張り、追加点を許さなかった。 そしてFW13土屋裕豊(3年)を投入し、ここから反撃に出ようとした最中、砂押がピッチに倒れ込む。砂押はそのまま立ち上がることができず負傷交代。キャプテンを失った帝京だったが、それでも諦めずに、69分には高い位置で相手ボールを奪うと、ボックス左からFW9宮本周征(2年)がシュート。GKが弾いたところを土屋が押し込み同点に追い付いた。 何とか同点に追い付いた帝京だったが、残り時間で勝ち越しゴールを奪うことができず、1-1のまま突入したPK戦で4-5で敗れた。 試合後、砂押は「100%出し切れたと思います。1試合1試合引退がかかった中で、2試合勝てたというところで、自分たちの全力を出せたと思います」と清々しい表情で試合を振り返った。 もちろん、最後までピッチに立っていられなかったことや、勝ち上がれなかったことへの悔しさはある中で、それでもキャプテンとして苦しみながらもチームを引っ張り、帝京を15年ぶりに選手権の全国の舞台に戻した充実感の方が大きかった。 「この悔しさを忘れずに、大学の4年間で自分の目標であるプロに向かって頑張っていきたい」そう言って次のステージを見据えた砂押。 運命のいたずらか、この試合の対戦相手である明秀日立には弟のFW砂押歩希(1年)が在籍していた。弟はスタンドで明秀日立を応援。それでもカナリア軍団のキャプテンマークを巻く兄の姿を目に焼き付けたことだろう。 「弟には来年と再来年でピッチに立ってもらって、今度は自分が応援しにいく立場になりたい。自分が成し遂げられなかった選手権優勝というものを、弟か帝京に成し遂げてもらいたい」 弟と後輩に選手権優勝の夢を託し、砂押は選手権を終えた。 (文・写真=会田健司)