コロナ禍に生まれた赤ちゃん「発達に遅れ」? 京都の大学が調査結果発表、何が影響したのか
新型コロナウイルス禍に生まれた赤ちゃんは、コロナ禍以前に生まれた赤ちゃんと比べ、1歳後半の時点で言語や社会性の発達に遅れがみられたとする調査結果を京都光華女子大(京都市右京区)などが発表した。大人のマスク着用や集団活動の減少などが影響した可能性があるという。 【地図】調査結果を発表した京都光華女子大学がある京都市右京区 同大学が同志社大赤ちゃん学研究センター(京都府木津川市)と共同研究した。2020年9月から23年3月に生後10~11カ月だった乳児約110人を対象に、言語理解に加え、物のやりとりなど非言語のコミュニケーション力を対面で調査した。対象児が生後18~24カ月になった際も同様に調査した。 京都光華女子大によると、生後10~11カ月の乳児では、新型コロナ流行前の15~19年に調査した赤ちゃんと有意な差は見られなかった。一方、1歳後半に実施した調査では、標準を100とした場合の発達指数がコロナ禍前は平均98だったが、コロナ禍では平均93と5ポイント低かった。保護者が家庭で記入する質問紙調査では影響は見られなかった。 コロナ禍では、保育園への登園自粛などで集団活動の機会が減少したほか、家族以外の親戚に会う帰省が制限されたり、大人のマスク着用で話し手の口元が見えなくなったりなどしたため、子どもの発達に与える影響が危惧されてきた。 京都光華女子大の大谷多加志准教授(発達心理学)は「コロナ禍に生まれた子どもたちの言語やコミュニケーションの力が、コロナ以前の子どもに比べ遅れが生じたことを確認できた」としつつ、「影響は一時的なものかもしれず、現時点で過剰に心配することはない」と話す。対象の赤ちゃんが3歳になった時点で再調査し、新型コロナによる社会規制が終了した後に影響が残っているかどうかも検証する。