照ノ富士 初場所のぶっつけV再現だ 休場明け左脇腹痛め稽古で相撲取れずも10度目Vへ「自分との戦い」
大相撲夏場所は12日に東京・両国国技館で初日を迎える。横綱・照ノ富士(32)=伊勢ケ浜=は11日、優勝額贈呈式に出席し、10度目の優勝を目標に掲げた。今場所は左脇腹痛で十分な稽古ができていない中での「ぶっつけ本番」。ただ、3場所連続で休場していた1月の初場所では強行出場し、9度目の賜杯を手にした経験もある。初日は新小結・大の里(23)=二所ノ関=を下し、徐々に調子を取り戻し初場所の再現を狙う。 決意に満ちた表情だった。照ノ富士は師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)と優勝額贈呈式出席後に「できることを精いっぱいやる気持ち。親方も言っていたけど、ぶっつけ本番」と口を真一文字に結んだ。集まったファンのサインに応じたが、笑顔はなし。戦闘モードに入っていた。 3月の春場所は腰の負傷で7日目から途中休場した。春巡業終盤の先月25日から稽古を再開し「悪くない」と調子は上向きつつあった。だが、2日の横綱審議委員会による稽古総見で左脇腹を痛め、相撲を取る稽古を回避した。9日の部屋での稽古でも相撲は取っていなかった。10日の取組編成会議での出場決定後、初の公の場で「(左脇腹は)大丈夫です」。両膝、腰の痛み、糖尿病など多くの苦難を乗り越えた男は、再び立ち向かうことを決めた。 初場所の再現を狙う。1月の場所前は腰痛などの影響で、十分な稽古を積めていなかった。それでも尻上がりに8日目から千秋楽まで8連勝。13勝2敗で優勝を果たした。事業部長の春日野親方(元関脇・栃乃和歌)も「ぶっつけで出てくるけど、先頭に立って引っ張ってほしい存在」と期待。大関から序二段に転落しながらも、最高位に駆け上がった不屈の精神力が支えになる。 大台は目の前だ。初日は大の里、2日目は西前頭筆頭・大栄翔(30)=追手風=と対戦するが、「自分との戦いじゃないですか」と抑揚なく受け止めた。優勝すれば10回目の大台に乗る。かねて目標にしてきた数字に王手をかけており、「かなえられれば一番いいですね」と闘志を秘めた。けがとの闘いにも勝ち、史上15人目の2ケタ優勝を達成する。(大西 健太) ◆照ノ富士の休場明けV 過去9度の優勝の内、直近3度が休場明け。22年春場所で6日目から右かかとと左膝の負傷のため途中休場したが、翌夏場所に12勝3敗でV。4場所連続休場後の23年夏場所では14勝1敗で優勝。3場所連続休場後の24年初場所は13勝2敗で通算9度目の賜杯を抱いた。
報知新聞社