血液型に関係する病気(2)O型はコレラやペストなどの感染症になりやすい
血液型は多くの病気と関連していますが、なかでも重要なのが「感染症」です。マラリアのような、医学的には寄生虫症に分類されるものから、真菌(カビ)、細菌、ウイルスに至るまで、実に多くの感染症が血液型と深く結びついています。 感染症が地域の血液型を淘汰した? マラリアやコレラが証明 血液型を決めているのは、赤血球の表面を覆う「糖鎖」と呼ばれる物質です。これにはA型、B型、H型の3種類があります。赤血球がA型糖鎖(医学的にはA抗原と呼ぶ)で覆われていれば血液型はA型となります。同様にB型糖鎖(B抗原)なら、血液型はB型です。またO型の人の赤血球は、H抗原で覆われています。またA抗原とB抗原の両方を持っていればAB型です。 実はこれらの糖鎖は、赤血球だけでなく全身の細胞表面にも発現しているのです。たとえばA型の人は皮膚や、消化器や気管支の粘膜細胞などが、すべてA型糖鎖で覆われていますし、それが唾液や精液にも混じって出てくるため、それらのサンプルさえあれば、血液型が分かるわけです。 病原体が感染するためには、まず人体のいずれかの細胞に接着する必要があります。病原体の表面には、接着のための分子が飛び出しています。ヒト細胞の表面の適当な分子と結合できれば、感染の第一歩をクリアできます。そのためによく利用されるのが血液型糖鎖というわけです(もちろんそれ以外の分子を利用する病原体も数多くいます)。 ただし、病原体側の接着分子とヒト側の血液型糖鎖の相性によって、結合の強さが変わってきます。そのため血液型に応じて感染症のかかりやすさに違いが生じてくるのです。 例をあげると、天然痘はA型に感染しやすく、O型は感染しにくいことが分かっています。しかしコレラ菌はO型が好きで、B型は好みではありません。またペスト菌はO型が好きですが、A型はあまり好きではないようです。結核やムンプス(おたふく風邪)もO型がかかりやすいといわれています。 ウイルスでは、ノロウイルスやロタウイルス(どちらも胃腸炎を引き起こす)はO型が多く、B型はかかりにくいといわれています。A型を好むノロウイルスの株もいるようです。 ピロリ菌もO型が好きで、そのためO型の人は胃潰瘍や十二指腸潰瘍が多いこともよく知られています。=つづく