2024年度上半期の「負債1,000万円未満」倒産292件 支援終了と物価高で、東日本大震災以降で2番目の高水準
2024年度上半期(4-9月)「負債1,000万円未満」倒産状況
2024年度上半期(4-9月)の負債1,000万円未満の倒産は、292件(前年同期比28.6%増)で増勢を強めた。年度上半期では2年連続で前年同期を上回り、2010年度以降では、コロナ禍の2020年度に次いで2番目の高水準となった。コロナ関連支援策が終了し、円安や物価高、人件費の上昇などのコストアップが企業収益を圧迫。2024年度上半期は4月から6カ月連続で前年同月を上回り、小・零細企業の厳しさが浮き彫りとなった。 産業別は、最多が飲食業44件を含むサービス業他の133件(前年同期比49.4%増)。以下、小売業の44件(同25.7%増)、建設業の37件(同7.5%減)の順。 原因別は、販売不振が187件(前年同期比7.4%増、構成比64.0%)。資本金別は1千万円未満(個人企業他を含む)が268件(前年同期比27.0%増、構成比91.7%)、形態別は破産が286件(同30.5%増、同97.9%)と、ともに9割超に達した。 負債1,000万円未満の倒産は、借入金や支援策を拠り所にしてきた小・零細企業が中心になっている。事業規模が小さいだけに取引上の立場が弱く、価格転嫁も容易ではない。さらに、物価高や人件費上昇などが企業収益の足かせとなり、コロナ禍からの業績改善が遅れている。また、金融機関の貸出金利の上昇に加え、10月からは最低賃金が引き上げられる。先行きを描けない小・零細企業は、経営の立て直しだけでなく、事業存続の可否も検討する時期を迎えている。 ※本調査は、2024年度上半期(4-9月)に全国で発生した企業倒産(法的、私的)のうち、企業倒産集計(負債1,000万円以上)に含まれない負債1,000万円未満の倒産を集計、分析した。