大阪地検元検事正の北川健太郎被告が無罪主張したことを受け、会見する被害女性＝11日午後、大阪市北区（山田耕一撮影）

酒に酔った部下の女性検事に性的暴行を加えたとして、準強制性交罪で元大阪地検検事正の北川健太郎被告（65）が起訴された事件で、被害を訴える女性検事は11日の記者会見で、知人の元警察官らが支援の会を立ち上げたことを明らかにした。また、「被害者保護がおろそか」などと組織の対応を疑問視するほかの現職検事2人のコメントも読み上げた。 【写真】一転して無罪を主張した北川健太郎被告 女性検事は、組織内で誹謗（ひぼう）中傷される二次被害を受けているとして、検察庁に調査を申し立てている。 こうした状況を踏まえ、2人の検事のうち1人は「性犯罪被害に遭って被害申告に至るケースはごくわずか。被害者は全力で守らなければならない。声を上げた被害者を絶対に後悔させてはいけない」との思いで捜査や公判対応にあたっているとし、「女性検事に対する被害者保護はあまりにおろそか。問題点を自省し、女性検事を全力で守っていただきたい」と言及した。 もう1人の検事も、「これまでの対応はおよそ被害者に寄り添っているとはいえない」と批判し、「（検察の理念である）『被害者とともに泣く検察』はどこに行ったのか。それとも、そんなものはもとからなかったのか」と疑問を呈した。 女性検事によると、現職検事に加え、性犯罪被害者の支援団体や、警察官など約20人から支援の声が寄せられている。今後はホームページを作り、性犯罪被害者の役に立つような情報を自身も発信する予定だという。 被告は検事正在職中の平成30年9月、大阪市の官舎で、酒に酔って抵抗できない状態の女性に性的暴行をしたとして起訴されている。 10月の初公判で被告は起訴内容を認めたが、その後に選任された弁護人は今月10日、一転して「（被告は）同意があったと思っていた。犯罪の故意はない」と無罪を主張する方針を明らかにしている。