世界2階級王者に向けてまもなくゴング! 「チーム拳四朗」がスタイルチェンジより大切にする事
現在国内ボクシング業界では、世界主要4団体のベルトをすべて日本人が独占するバンタム級に熱い視線が注がれている。将来的に階級を上げ、「モンスター・井上尚弥」と世紀の一戦も期待されるWBC王者の中谷潤人筆頭に、井上拓真(WBA)、西田凌佑(IBF)、そして先月、元WBCフライ級王者の比嘉大吾に勝利した武居由樹(WBO)という、実力と個性を兼ね備えた魅力あるボクサーがベルトを巻いている。 対戦カードやボクサー個々に注目が集まる事はあっても、主要4団体の世界タイトルすべて日本人が独占し、ひとつの階級にこれだけ熱い視線が注がれる事は史上初。しかしフライ級もまた、拳四朗の参戦で俄然目が離せなくなった。 WBAは地方ジムのハンデを乗り越え、22戦無敗の絶対王者だったアルテム・ダラキアン(ウクライナ)を破り王座に就いたユーリ阿久井政悟。WBOは中谷潤人の親友で日本でもお馴染み、「トニー」ことアンソニー・オラスクアガがわずか8戦で王座に就くなど底知れぬ可能性を秘めている。 ライトフライ級では圧倒的な結果を残し続けた拳四朗も、フライ級転向初戦を控えた現時点では、ふたりに必ず勝利出来るとは言い切れない。難敵待ち構えるフライ級で、ふたりはどのように戦い、何を目指すのか。 答えは意外なものだった。 ■寺地拳四朗(てらじ・けんしろう) 1992年生まれ、京都府出身。B.M.Bボクシングジム所属。2014年プロデビューし6戦目で日本王座、8戦目で東洋太平洋王座獲得し、2017年10戦目でWBC世界ライトフライ級王座獲得。8度防衛成功し9戦目で矢吹正道に敗れ王座陥落するも翌2022年の再戦で王座奪還。同年11月には京口紘人に勝利しWBA王座も獲得し2団体王者に。今年7月、フライ級転向発表し王座返上。今月13日、クリストファー・ロサーレス相手にWBC世界同級王座決定戦に挑む。通算成績24戦23勝(14KO)1敗 ■加藤健太(かとう・けんた) 1985年生まれ、千葉県出身。2005年三谷大和スポーツジムから20歳でプロデビュー。2006年東日本新人王トーナメントはスーパーライト級で決勝進出。右拳の怪我で1年間ブランクの後出場した2008年同トーナメントはライト級で準々決勝進出し、のち日本王座に就く細川バレンタインと引き分けた。網膜剥離を煩い24歳で現役引退。通算成績9勝(7KO)1敗1分。26歳で三迫ジムトレーナー就任。現在はチーフトレーナーとして名門ジムを支える。2019、2022年度最優秀トレーナー賞受賞 取材・文・撮影/会津泰成