費用抑制が不可欠 障害、保育分野でも(財政審)
財務省が13日に開いた財政制度等審議会財政制度分科会では、障害福祉や保育分野の改革の方向性についても取り上げられた。 障害分野について財務省は「総費用額を抑制する取り組みが不可欠」との方針を示した。 2024年度の障害福祉サービスの予算額は2兆183億円。利用者数は159万人、事業所数は13万8000カ所で、いずれもこの10年で倍増している。一方で、不正受給額も増加傾向にあるという。 このため財務省は、自治体が策定する障害福祉計画を通じて給付の適正化を促す方針。障害福祉データベースを活用することで、ほかの自治体と比較できるようにする。 また、就労継続支援B型については、次期報酬改定で利用時間をきめ細かく設定する報酬体系へ見直したい考えを示した。 財務省によると、利用時間が4時間未満だった事業所の収支差率は、全事業所平均と比較して高くなっており、報酬が過大である可能性があるという。内訳をみると営利法人の割合が高かった。 就労継続支援A型については、一般就労への移行を進めるため、メリハリのある報酬体系を検討。グループホームについては総量規制の対象とする。 保育政策は転換 保育分野については、これまでの受け皿増加を優先する政策から転換し、地域ごとのニーズに応じた保育提供体制を検討する方針を示した。 全国の待機児童数は17年度は2万6000人だったが、24年度は3000人にまで減少。24年度の定員充足率は都市部で92%である一方、過疎地域では76%となっている。 また、施設類型別の収支差率をみると、保育所5・3%▽認定こども園4・1%▽幼稚園5・5%▽地域型保育事業10・9%だった。施設類型別に開きがあることから、公定価格の単価設定の水準を検証して、適正化すべきだとした。 特に地域型保育事業は、突出して高いことから、来年度にも見直すべきとしている。 生活保護は医療抑制 生活保護については、医療扶助のさらなる適正化を進める。 22年度の生活保護費は3兆5000億円で、うち医療扶助が1兆7000億円と約半分を占めている。これまでは福祉事務所が受給者を指導する形で頻回の受診対策をしてきた。 今後は地域医療に責任がある都道府県などによる医療機関への働き掛けが必要だと指摘。財務省は、生活保護受給者を国民健康保険制度や後期高齢者医療制度に加入させることで、ガバナンス強化につなげることを提案した。 また、同一月内に同じ薬剤を複数の医療機関が処方する重複投薬対策では、将来的に電子版の「お薬手帳」を原則利用することなどを検討してはどうかと訴えた。