Google と米司法省による「世紀の裁判」、司法省有利の観測
記事のポイント 2023年9月、米司法省がGoogleに対して反トラスト法違反の訴訟を起こし、インターネット業界に大きな影響を与える「世紀の裁判」となっている。 米政府は、Googleがサムスンやベライゾン等の大企業との契約により検索市場での支配的地位を不当に保っていると主張。11月第3週の公判で、GoogleがAppleにSafariの検索収入の36%を支払っていたことが明らかになり、政府の主張を裏付ける形となった。 総合金融機関バークレイズのアナリストは、Googleが敗訴しても大きな影響はないと予測している。米国での今後の反トラスト法訴訟に注目が集まる。 2023年9月中旬、米司法省が市場で圧倒的な地位を誇る検索帝国Googleに狙いを定め、インターネットの歴史でもっとも大きなインパクトを持つともいえる訴訟が始まった。 この「世紀の裁判」の行方について、11月第3週を終えた時点で、政府側が勝利を収めるのではないかという声が上がっている。 Googleにとってはかなり重大な裁判だ。政府はGoogleがサムスン(Samsung)やベライゾン(Verizon)をはじめとする一連の大企業との契約を通じて検索市場での支配的な地位を築き、米国の反トラスト法に違反したと主張している。
11月第3週の公判で起きた「手違い」
もっともメディアの話題を集めているのは、Appleとの関係だ。初期の推定によれば、GoogleがiPhoneのデフォルトの検索エンジンであり続けるために支払った額は約200億ドル(約3兆円)に上る。 Googleは多方面で法廷闘争に巻き込まれているが、関係するビッグテックの面々(Googleだけではない)がそろって内々の取引が表沙汰になることを避けようと懸命になっている、司法省相手のこのワシントンD.C.での裁判が、もっとも重要であることは間違いないだろう。 ところが、11月第3週の公判で明らかな手違いが起きた。GoogleがSafariで得られる検索収入の36%をもAppleに支払っていたことが明るみになったのだ。ブルームバーグ(Bloomberg)のレポーターによると、Google側の経済専門家で証人として出廷したシカゴ大学のケビン・マーフィー教授がこのことを明かしたとき、Googleの主任弁護人が「はた目にもわかるほどにたじろいだ」という。