<ラグビー>帝京大が社会人のNECを倒した大金星は、なぜ起きたか?
終盤、NECはキーマンが苦々しい顔を浮かべていた。トンガ代表主将のナンバーエイト、ニリ・ラトゥは、自陣でプレーを強いられて終盤はフラストレーションがたまっているようだった。フィジー代表の大型ウイングであるネマニ・ナドロはほぼ不発だった。日本代表の田村はこう述懐した。 「帝京大の勝つ条件が全て揃っていた」 「社会人対学生」というより「いちクラブ対いちクラブ」の接戦を制した格好の帝京大は、15日、秩父宮での2回戦に進む。 今回ぶつかったNECが今季のトップリーグで16チーム中10位だったのに対し、次の刺客の東芝は3位。現体制下では上位4強のプレーオフにすべて出場してきたという強豪だ。南アフリカ代表としても活躍してきたロングキッカーのフランソワ・ステインがセンターに、日本代表主将のリーチ マイケルがナンバーエイトそれぞれ屹立。帝京大が右肩上がりで精度を上げているスクラムでは、最前列にジャパン経験者が揃う。数字上の「マイボールキープ率」では測れぬ押しの強さに関して言えば、国内で1、2を争うとされる。 念願を叶えた翌週、さらに高いステージに挑む…。帝京大としては、精神的にも肉体的にも難しい状況下にある。容易ではない金星を得るには、まずはNEC戦の序盤に呼吸が合わなかったラインアウトの修正が必須か。「ファーストプレーから挑む」もマストとなろう。 「いままでやってきたことをやり抜くだけです。きょうの喜びをエネルギーに変えます。相手を上に見すぎても逆効果になるので、やれるという期待を持って戦いたいと思います」 険しい道を前に、流主将の決意は力強かった。 (文責・向風見也/論スポ、アスリートジャーナル)