史上最年少ファイナリストのサニブラウンはメダルを獲得できるのか
「しっかり先頭集団に食い込んで、最後はメダルのラインにカラダを叩き込めればなと思っています」 現実的に考えると、サニブラウンのメダル到達の可能性は高いとはいえないだろう。とはいえ、誰がV候補なのかと問われと、非常に答えにくい状況になっている。 近年、この種目でメダルを獲得している選手の決勝進出はなく、本来なら400mの世界記録保持者で、今大会2冠を目指すウェイデ・ファン・ニーケアク(南アフリカ)は大本命になるはずだった。しかし、400mの疲労があるのか、200m準決勝は3組で20秒28(+0.3)の3着と精彩を欠いた。着順(2着)ではなくプラスでの準決勝突破で、ファイナルでの走りも不安が残る。 自己ベストでは最速の19秒77を持つアイザック・マクワラ(ボツワナ)は、世界選手権の公式ホテルで広がった感染性胃腸炎のため予選を欠場した。その後、国際陸上競技連盟の救済措置を受けて同予選に参戦。単独で20秒20(+1.4)をマークして、タイム順での予選最低突破ラインとなる20秒53以内をクリアした。約2時間後の準決勝1組も20秒14(+2.1)の2着で突破したものの、ひとりだけファイナル前日に2本のレースをこなしており、体調面では明らかに不利になる。 男子200m決勝は本命不在の大混戦。末續が銅メダルを獲得したときのパリ大会と雰囲気は似ている。何が起こっても不思議はない。男子200m決勝は10日の午後9時52分(日本時間11日午前5時52分)。若き日のボルトを上回るスピードで進化を遂げるサニブラウンがさらに歴史を動かすかもしれない──。 (文責・酒井政人/スポーツライター)