データから見るソフトバンクの「最適」打順 最強打者・近藤健介は2番に置くべきか
今季のオープン戦が24日に全日程を終えた。ソフトバンクは2015年以来の優勝。好調を維持したまま開幕を迎えられるかが大きな鍵となる。 ■ソフトバンク2023年の先発打順別打率【表】 今年から指揮をとる小久保監督はオープン戦前半で、野手のスタメンをコーチ陣に一任するという試みを行った。開幕後を想定した「実戦モード」に入った19日の阪神戦以降を除けば、各選手の打席数を勘案した打線だったということだ。日頃見慣れない打順に驚くファンも多く、SNS上ではソフトバンクの打順に言及する声も多く見られた。 特に議論を呼んだのは2番の起用法だ。SNS上では近藤健介を推す声がある一方、今宮健太が最多の8試合でスタメン。今オープン戦での今宮の「2番打率」は3割3分3厘。出塁率も4割4分と好成績をマークした。 それでも今宮の2番起用に疑問を呈するファンの声が絶えないのは、米大リーグで主流の「2番最強打者論」に起因している。データ野球全盛の大リーグでは、統計(セイバーメトリクス)を元に打順決定を行うことが合理的とされている。1番には出塁率、アウトカウントが多い場面で打つ4番には長打力が必要で、それ以外の打順、2、3番と5~9番を打力順に選手を配置することが最も点が取れるとされる。つまり、総合的に最も打力が高い選手は2番というのが「2番打者最強論」だ。 総合的な打力を測る指標には長打率やOPSなどがあるが、昨季のチームトップは共に近藤。セイバーメトリクス上では「2番近藤」に異論はないように思える。 一方、近藤の5番起用について一つ検討したいデータがある。チーム内における先発打順別の打率だ。昨季のソフトバンクは4番が3割1厘、3番は2割9分1厘、2番が2割7分7厘。ところが5番は2割7厘。8番(.211)9番(.200)とあまり変わらない。 昨季のソフトバンクの5番は固定に至らなかった「泣きどころ」。中村晃(36試合、.218)、栗原(34試合、.194)、牧原大(34試合、.223)が主に務めたが、好成績を残せなかった。不思議なのは、この3人は他の打順だと元気だということ。中村晃は1番で62試合に出場して2割8分6厘、牧原大は2番で28試合に出場して3割1分9厘と見違えるような数字を残している。5番でも打率が下がらない好打者を置くことが、ソフトバンク打線のつながりを向上させるカギの一つであると言える。