新型スバルBRZに国沢光宏氏が試乗 一部改良でFRの走りにどんな変化が見られたか?
富士スピードウェイのショートコースで乗る
「トヨタGR86」とともに2024年7月に機能面を中心とした一部改良が行われた「スバルBRZ」。新型GR86に続き、モータージャーナリストの国沢光宏氏が土砂降りの富士スピードウェイ・ショートコースで試乗した。 【写真45枚】一部改良が行われた新型BRZの内外装と新旧モデルの走りの比較、さらにはスーパー耐久参戦車両である「チームSDAエンジニアリングBRZ CNFコンセプト」の詳細画像をチェック ◆アプライドD スバルはフルモデルチェンジした後、欧米のメーカーと同じく毎年改良を加えていく。そして「判別しやすくしましょう」ということから、改良を入れる度にアルファベットで表示する。ちなみに今回リリースされた新型BRZはD型(スバルファンはアプライドDとも呼ぶ)。 ◆主要な改良点は4つ 以下4点がアプライドDの改良点だと、スバルからリリースされた。 1)ダンパー特性の最適化 2)6速MT車専用「SPORT」モード追加 3)電動パワーステアリングのアシスト特性最適化 4)AT車のマニュアル・ダウンシフト制御の許容回転数拡大 それぞれ詳細をチェックしてみよう。 ◆一般道が評価基準 まずは1)のダンパーの最適化だけれど、当初からBRZは車体挙動のコントロール性を重視した味付けだった。というのもスバルのテストドライバーの評価基準って「一般道」。競技で言えばエスケープゾーンのないラリーをイメージしていただければよかろう。そういった道で楽しもうとしたら”失敗”が許されない。コントロールできなくなればクラッシュだ。 同時に「速く走る」ということを重視する。このあたりは「えいやっ!」でコーナーに飛び込み、車体をコントロールすることを目的とすることを楽しむドリフト競技と違う。私は言うまでもなくラリー派だからして、当初からBRZの味付けを好んでいた。もちろんテール流れた後のコントロールだってキッチリできる。今回の試乗会はC型とD型の乗り比べだったのだけれど、C型だって振りまわせた。 ◆路面からの情報が多い D型やいかに? と思いながらコースインすると、意外や意外! 一段とコントローラブルになっている。ダンパーのセットアップもさることながら、後輪流れた時のステアリング・インフォメーションが良い! カウンターステア当てる際、最も重要なのはステアリングとアクセルでクルマのスライド量をコントロールすること。 ステアリング・フィールの薄いクルマだと、ステアリングから伝わってくる情報というより、ドライバーの”勘”でカウンターステアを当てなければならない。明確なステアリング・フィールあれば「切りすぎ」や「切り足りなさ加減」が伝わる。ここ、2)と3)の改良が関係してくるのだった。電動パワーステアリングのアシスト特性の改良により、ステアリングに伝わってくる路面からの情報がC型より多い。 ◆スロットル・コントロールがリニアになった 加えて2)の「スポーツ』モードを選ぶと、アクセルとスロットルの開度がアクセル・ワイヤーで操作するのと同じ1対1になる(一般的な電子制御スロットルだとアクセル踏む量よりスロットル開度を大きくする)。これまたテール・スライド中のコントロールをリニアにできる要因になっていると思う。BRZの場合1)~3)の総合的な改良によりクルマ全体のコントロール性能が向上している感じ。 結果的にD型はC型よりヘビーウエット路面でコントロールしやすくなっており、乗っていて楽しいクルマに仕上がっている。このあと別記事でGR86かBRZかという評価をするけれど、自分のクルマとして買うのならBRZの味付けを好む。ただダンパーやタイヤ、ホイールなど交換すると、様々なバランスが変わってくる。といった意味からすれば、好みのブランドを選べばいいということになるかもしれない。 4)については試乗車が無かったので試せていないけれど、ミニ・サーキットでも峠道のようなテストコースであっても、1速や2速へのシフトダウンは頻繁に行う。今までは操作しても「ぷっ!」と警告音出て無視されるケースが多かったが、シフトダウンを1500回転も高い回転数で受け付けてくれなら、もっと楽しいスポーツド・ライビングを楽しめると思う。 文=国沢光宏 写真=茂呂幸正 (ENGINE WEBオリジナル)
ENGINE編集部