AIブームで急成長の「ディスコ」どんな会社?
※会社が生んだ付加価値(売上高から、原材料費、外注費、水道光熱費、消耗品費などを差し引いた額)のうち、どれだけ賃金として従業員に還元しているかを表す比率。簡便法で「人件費÷(営業利益+人件費)」で目安が求められる ■売上の約9割は海外! 半導体メーカーが熱視線 この驚異的な付加価値の高さは、同社が持つ類まれな技術力から生み出されています。ディスコの主要製品は、半導体製造に欠かせない精密加工装置とそのツールの2つ(→下図)で、売上の63%を加工装置が占めています。
主要取引先は、半導体や電子部品のメーカーで、特に近年は、IC(集積回路)製造用途の需要が高まっています(→下グラフ)。 加工装置では、半導体などに使われるシリコンを「切る」「削る」「磨く」ことが可能。同社の製品は精密さで群を抜いており、例えば髪の毛の断面を35分割する、あるいはシリコンを5㎛(マイクロメートル)の厚さ(コピー用紙の20分の1)まで削ることができます。 部材の細密さは、そのまま半導体のサイズや機能に直結することから、世界中の半導体メーカーからの注文が増加傾向にあります(→下グラフ)。
■中国の売上は、直近5年で約3倍に拡大 特に中国の売上は、直近5年で374億円から1105億円と約3倍に拡大。売上高の海外比率は87.8%まで高まっています。 決算短信によると、当期は「世界的なEVシフト」等を背景にパワー半導体の需要が継続。生成AI関連の需要も拡大し、加工装置の出荷は堅調に推移、加工ツールも上昇基調で推移したことで、年間出荷額は過去最高となりました。 《『100分でわかる! 決算書「分析」超入門 2025』では、ディスコのバランスシート、キャッシュ・フロー計算書、株価の変動についても詳しく分析しています》
佐伯 良隆 :グロービス経営大学院教授(ファイナンス)