Xで一番「バズった」都知事選候補は石丸氏ではなかった!? 動画で躍進した石丸氏、自民や立民も見習うべき?【データ・インサイト】
▽情報が偏るリスクに注意を 有権者側からすれば、候補者がSNSに力を入れると、日常的に利用しているユーチューブやSNSで政策や人柄を知ることができる。選挙が従来よりも身近に感じられるかもしれない。今回の投票率が2000年以降の都知事選で2番目に高い60・62%に達したのも、SNSによって選挙にまつわる話題が拡散しやすくなったことが一因と考えられる。 鳥海教授はSNSの効能を、こう評価している。「新聞やテレビは一部候補者ばかり取り上げ、偏った情報しか報じない。既存メディアが扱わない候補者の主張に簡単にアクセスできるなど、SNSで情報量が増えたことは喜ばしいことだ」 だが、SNSの特性から生まれる課題もあるという。SNSは利用者の閲覧履歴などを基にアルゴリズムが表示内容を機械的に調整するため、趣向に沿った内容ばかりを受け取る状況になりやすい。こうした現象は「フィルターバブル」と呼ばれる。
さらに、自分と同じような考え方ばかり見聞きしているうちに、それが最も正しいと思い込む「エコーチェンバー現象」も起こりがちだという。こうした現象は「ユーチューブやXで間違いなく生じている」と語る。 SNSが特定の候補者の情報ばかりを届けることで、有権者としては広く候補者の主張を吟味する機会を損なう可能性がある。どのように対処したら良いのだろう。ネットコミュニケーション研究所の中村代表はこう話している。「情報が正しいかどうか、自ら検証することが大切だ」。真偽が分からない情報は、拡散しないよう意識することも推奨している。 切り抜き動画に関しても、候補者に都合の良い編集がされている可能性があると指摘。その上で、こう強調した。「短く切り取られた動画のみを鵜呑みにするのではなく、さまざまな情報に触れながら検証し、投稿の真偽性や政策の実行可能性を見極めることが重要だ」