Xで一番「バズった」都知事選候補は石丸氏ではなかった!? 動画で躍進した石丸氏、自民や立民も見習うべき?【データ・インサイト】
7月7日に投開票された東京都知事選。小池百合子都知事が291万票という圧倒的な得票で3回連続の当選を果たしたが、最も注目を浴びたのは広島県安芸高田市長を辞職して出馬した石丸伸二氏だった。 【写真】「『元気で爽やかなお兄さん』のイメージから進化するべく…」 政治家の演説も「バズる」時代 「話す力」をAIが診断、数値化 史上最年少の兵庫県芦屋市長も学んだスピーチ術 23年
知名度の高い前参院議員の蓮舫氏を上回る165万票を得て2位となるや、一躍「時の人」に。その後、交流サイト(SNS)やメディアで話題となっている。 石丸氏はSNSを駆使し、若年層の支持を集めたと言われる。共同通信の出口調査でも、18~29歳の41%が石丸氏に投票したと回答。小池氏の27%を大きく上回っていた。「日本一バズる市長」の面目躍如と言えるだろう。 ただ、選挙期間中のSNS動向を分析すると、違った事情も見えてきた。X(旧ツイッター)において、都知事選関連で名前が書かれたポスト(投稿)が最も多かったのは、蓮舫氏だった。一方、石丸氏はユーチューブの動画視聴数で他候補を突き放し、公式以外にも支持者らがつくる応援アカウントが発言の切り抜き動画を拡散。ユーチューブでの存在感は群を抜いていた。 最終的に、得票は石丸氏に軍配が上がった。「主戦場」となったSNSの違いが、2人の「明暗」につながったのだろうか。(共同通信 都知事選データ取材班)
▽Xのポストは断トツだった蓮舫氏 Xのポスト数は、得票上位5候補を対象に調査した。NTTデータが提供する「なずきのおと」で算出。告示から投開票前日までの選挙期間(6月20日~7月6日)で、都知事選とセットで候補者名に触れたものを抽出した。 最も多かったのが蓮舫氏で、ポスト数は227万。2位だった小池知事の177万、石丸氏の170万を50万前後上回り、断トツの1位だ。得票4位の元航空幕僚長田母神俊雄氏は82万。得票5位のAIエンジニア安野貴博氏は5万だった。 5人とも、7月6日のポストが最も多かった。選挙期間最終日だけに、SNSも盛り上がったようだ。候補者名で絞り込まず、単に都知事選へ触れたポスト数も抽出してみたが、告示から7月5日までは40万~70万だったのに対し、7月6日は126万に跳ね上がった。この日のポスト数も、蓮舫氏が1位だった。 だが、蓮舫氏の支持は伸びなかった。この点に関し、都知事選におけるSNSの動向を分析した東大大学院の鳥海不二夫教授は「Xの言及は批判も多い。少人数のユーザーが多数投稿する場合もある」と語る。X上の存在感が大きくても、支持に直結するとは限らないということだろう。