日本通運の親会社、財務目標よりM&A優先-日本企業の黒子から脱皮
古江氏は要求水準が高い日本企業との取引で培った品質やきめ細かいサービスが自社の強みで、海外競合と差別化できると考えているという。実際、日本で取引を始めた「GAFAMクラス」の米大手IT企業から、インドでの倉庫業務についても6月に受託。今後は複数の国で入札に招かれる予定だという。
一方で激しい競争に勝ち抜く必要もある。メガフォワーダーの一角を占めるデンマークのDSVも9月にドイツ鉄道傘下のDBシェンカーを企業価値143億ユーロ(2兆2000億円)で買収すると発表。手をこまぬいていれば再び突き放される可能性もある。
SMBC日興証券の川嶋宏樹シニアアナリストは3月のレポートで、経営計画の目標達成には相当の改革スピード加速が必要と指摘している。
CPなど2社の買収で、NPNEXが経営計画で設定していた28年までのM&A資金枠2000億円の半分以上を使った計算になるが、古江氏は枠がなくなったから今後4年間「何もしないというわけではない」と述べ、魅力的な案件であれば予算を上積みして対応するとの考えを示した。
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Masatsugu Horie