松山ツアー史上最多アンダーで開幕戦圧勝! でも何が良かったかは「わからない」の答えに欧米メディア驚く
PGAツアーの25年シーズン開幕戦ザ・セントリー(ハワイ、マウイ島カパルア・プランテーションコース)で松山英樹がツアー史上最高の通算35アンダーで優勝した。2日目からトップを快走したマスターズチャンピオンはメジャー2勝のコリン・モリカワに3打差をつけツアー通算11勝目を挙げると、記録を意識しながら打った18番2.5メートルのバーディパットが入って「うれしい」と満面の笑みを浮かべた。 撮りたて! 松山英樹の最新ドライバーショットはこちらから
圧巻だった。前日11アンダー62をマークし54ホールのツアー最少スコア記録の27アンダーで首位を守ると最終日はスタート直後の3番で107ヤードのセカンドショットを直接沈めてショットインイーグル。このコースが得意なモリカワを寄せ付けないプレーで8アンダー65をマークした。 「スコアを出さないと逃げきれないと思っていました。(ツアー史上最多アンダーという歴史的スコアをマークするには)最後のパットが入るか入らないかだと思っていたので入って良かったです」と控え目に喜んだ。 勝因は「オフでリフレッシュできたこと」。3日目を終え海外メディアに「3ラウンドを通してわずか1ボギー。あなたのプレーで一番良かったのは何ですか?」と尋ねられると松山は言葉を濁した。 「よくわからない」という答えに記者たちは驚いた。普通なら良かった点を自分の言葉で詳細に語るのだが日本のスーパースターは言葉が少ない。PGAツアー3勝の先輩・丸山茂樹は「スマイリング・アサシン(笑顔の暗殺者)と呼ばれたが、松山は「もっとも静かなチャンピオン」と寡黙さが取り沙汰される。 いっぽう敗れたものの史上4番目の最多アンダーの通算32アンダーをマークしたモリカワは饒舌だ。 「すべてのショットに集中し、すべてのショットにできる限りの力を注ぐのが一番大事なことです。偉大な選手たちは皆それをやってきました。タイガーは毎週それを実践してきた。自分の過去6年間を振り返るとそれができていたとは思えない。目の前のショットに毎回全身全霊を込めるのはすごく難しいことですから。でも今年はそれをやり遂げるつもりです」 昨季マスターズで3位、全米プロで4位、メモリアルトーナメントで単独2位など勝てないだけだったが、やはり優勝がないと物足りなく感じてしまう。 その点松山の24年はビッグイベントでシーズン2勝、パリ五輪での銅メダルと充実していた。オフにたっぷり休養し英気を養ったこと、そしてハワイに持って行った4本のパターのうち今週新たに採用したスコッティキャメロン009Mセンターシャフトがグリーン上のパフォーマンスを格段に上げてくれたことが歴史的勝利の要因だった。 初戦のシグネチャーイベントに勝ったことは大きい。ゴルフも好調。精神的にも肩の力を抜いてプレーできる環境が整った。今季は何勝するのか松山から目が離せない。 それにしてもアメリカに挑んで11年目、第一線を走り続け32歳で円熟味を増す松山には頭が下がる。大谷翔平とまではいかなくてももっと評価されて良いはずだ。 ※2025年1月7日19時27分、一部加筆修正しました。
川野美佳