スバルとAMD協業のSoCは「統合ECU」の構成要素に 「SUBARUビジネスアップデート」公表
スバルは11月1日、2023年8月に公表した新経営体制による方針に関して、各種検討状況の進捗を「SUBARU ビジネスアップデート」として、同社代表取締役社長 CEOの大崎篤氏が説明した。 【画像】大泉新工場の段階的立ち上げを紹介するスライド SUBARU ビジネスアップデートでは、「電動化」に向けて大泉新工場をバッテリEV専用ラインとして立ち上げた後に、バッテリEV以外の電動車との混流生産を可能とする「柔軟性」を持たせることや、「知能化」の領域では、AMDとの協業により実現するSoCは「ADAS」のみならず「車両運動」領域などを制御する「統合ECU」の重要な構成要素を担うことなどが明かされた。 ■ 大泉新工場は「柔軟性」を持って「段階的」に立ち上げ 2023年に発信した新経営体制による方針の中で、バッテリEVを切り口に大変革に突き進むことを発信した一方で、最終的に何を選択するかを決めるのは顧客であり、そのための選択肢として、バッテリEVだけではなくICE(内燃機関エンジン)系商品も幅広く用意することこそが「柔軟性」であるとの考えが示された。 そこで、バッテリEVにいったん舵を切り、新経営体制の方針で掲げる「モノづくり革新」と「価値づくり」を実現するとともに、その成果をICE系商品にも展開。市場の変化に対応できる「柔軟性」を身につけることが、新経営体制の方針のポイントになるとした。 具体的には、新たに立ち上げる大泉新工場は、バッテリEV専用ラインとして立ち上げた後に、バッテリEV以外の電動車との混流生産を可能とする生産ラインの構想をしており、環境規制や顧客の受容などの動向を踏まえながら「段階的」に立ち上げることを検討している。 ■ AMDとの協業で実現するSoCは、スバル車の「頭脳」となる「統合ECU」の構成要素に これまで「電動化」に向けた協業に関しては、e-Axleはアイシンと共同開発、バッテリ供給に関してはパナソニックとの協業を進めていることが公表されている。 一方、「知能化」に向けた協業では、AMDと「2030年死亡交通事故ゼロ」の実現に向けて「EyeSight」とAI推論の融合に関わる協業について公表されていたが、その協業により実現する最適化されたSoCは「ADAS」のみならず「車両運動」領域などを制御する「統合ECU」の重要な構成要素を担うことが明かされた。 「統合ECU」はスバルの強みである安全や走りの領域に絞り込んだ「内製開発」により、コスト競争力を保ちつつ、車両の「頭脳」として、スバルらしい高度な知能化を実現させるという。統合ECUを活用した制御ノウハウや、バッテリEVをつくりあげる過程で得た知見を蓄積するとともに、得意とする内製化のスピードをさらに高め、ICE系商品への活用や実装も踏まえて検討を深めるとしている。 こうした「モノづくり革新」と「価値づくり」に向けた「成長投資」に関しては、市況高騰の影響も含め、2030年頃までの投資総額1.5兆円について現時点では不変としているが、合理的かつ時代に合わせた適切な投資を柔軟に行なっていくとしている。
Car Watch,編集部:椿山和雄