石田ひかり「本当に売れなくて辞めようかと思いました」アイドル歌手としては鳴かず飛ばずだったデビュー当時
青春ファンタジー映画の傑作のひとつとしていまなおファンの多い『ふたり』で、当時若干18歳でありながらも圧倒的な存在感を放った俳優・石田ひかり。1992年秋から93年春にかけて放送されたNHK連続テレビ小説『ひらり』のヒロイン・藪沢ひらりを演じ、国民的な人気者となり、年末の紅白歌合戦では2年連続で司会を務めた。平成を代表するドラマ『あすなろ白書』(93年・フジテレビ系)をはじめ、以後も数多くのドラマ、映画、舞台などで活躍。結婚、出産を経て、近年は母親役としての活躍が多いが、今秋放映されたドラマ『全領域異常解決室』では夜を治める”神様”役が話題を集めた。10代の頃から芸能界に身を置き、様々な体験を経た石田さんのCHANGEについて聞いてみた。【第1回/全4回】 ■【画像】石田ひかりがアイドル時代の思い出を語るYoutubeとインスタグラム 取材当日、爽やかな水色のワンピースで目の前に現れた石田さん。ドラマを席巻した当時の面影を残しつつ、どこか母性のオーラを感じさせる落ち着いた佇まい。人生の転機について聞くと、聞き取りやすい穏やかな口調で芸能界入りのきっかけを話してくれた。 「中学1年の時に街で芸能事務所の方にスカウトされたんですが、じつはその1か月前に、姉がまったく同じ方に声をかけられていたんですよ」 姉妹揃って芸能界の第一線で活躍している石田さんだが、子供の頃は二人とも水泳に打ち込んでいた。父親の仕事の都合で3年間は台湾の台北市で暮らし、姉と共に台湾のナショナルチームに所属していた。 「両親はとても厳しく、世代的にも芸能界なんてとんでもないと思っているようなタイプでしたので、姉がもらってきた名刺をビリビリに破いてゴミ箱に捨ててしまいました。それをゴミ箱から拾って、泣きながらセロハンテープを貼って直している姉の姿を見て、“どうして家の電話番号教えてしまったんだろう”と思っていたんです。ところが、その少しあとで私も同じ名刺を貰ってしまって……。その方に“私、実は妹なんです”とお話ししたら、“ご両親厳しいのよね、よく判っていますよ”と言われました。家に帰って母に話したら“ほらね、みんなに配っているじゃない。こんなこと忘れて、あなたたちは泳いでいればいいのよ”と言われたことをよく覚えています」