田んぼに水逃がし洪水軽減、奈良で全国初指定 水害対策の新たな一手、全国波及へ期待
合意形成の難しさは他の自治体でも同じだ。福島県郡山市は、特定都市河川の流域で区域の指定を検討するが、具体的計画は白紙だ。河川の流域は市街地に近く、今後の土地開発を考えている地権者もいるとみられ、大半が農地だった奈良のケースとは異なる。担当者は「まだ相談段階にも至っていない」と話す。愛媛県も区域指定を検討するが、住民らのメリットが限定的であることに気をもむ。担当者は「メリットに対する感触を聞きながらの話し合いになる」と話した。
国交省でも5年度、区域内にある用水路の土砂掘削などの環境整備を事業に追加するなどし、さらなる協力を促している。同省は「土地所有者だけに負担が偏らないようにし、指定を促進していきたい」としている。(秋山紀浩)