ドライバー職、賃上げ道半ば 全業種平均と格差拡大
トラックドライバーの待遇改善が遅れている。厚生労働省が3月27日に公表した23年の賃金構造基本統計調査(企業規模10人以上)によると、大型ドライバーの年間収入は前年比1.6%増の485万円とわずかに増加したが、他業種が全般的に改善したことで、全職種平均(507万円/前年比2.1%増)との格差はむしろ広がった。他業種に比べて長い年間労働時間もほとんど改善されていない。 トラックドライバーの待遇・労働環境は90年代の運送規制緩和に伴う供給過多と運賃下落の中で長期的に悪化。全職種平均に比べて1割安い年収と2割長い労働時間が常態化し、このことが働き手の流出と高齢化を引き起こしてきた。 その対策としてこの4月からドライバーの時間外労働規制(年間上限960時間)が全面的に適用されるほか、長時間労働の元凶である長い荷待ち・荷役時間と低い積載率の改善を主眼とする荷主・物流事業者への規制的措置の法制化が進められている。 民間企業もこの動きを重く受け止め、10年代後半から共同配送・パレット活用・納品条件緩和といった生産性向上策を推し進めてきたが、肝心の収入・労働時間改善の歩みはあまりにも遅い。 既出の通り、23年の大型ドライバーの年間収入は1.6%増とインフレペースに全く届かず、中小型ドライバーに至っては前年並み(438万円)にとどまった。 年間労働時間も大型ドライバー0.9%減(2544時間)、中小型ドライバー0.5%減(2508万円)と改善が進まない。依然として全職種平均(2136時間)を2割近く上回る状況が続いている。時間外労働規制の適用開始を前に深刻な実態が明るみに出た格好だ。 しかし、労働者数に関しては大型ドライバー5.0%増(43万人)、中小型ドライバー19.0%増(60万人)と意外な増加傾向を示した。中小型を中心とする条件改善の動きが他業種からの働き手の流入につながっている可能性がある。
日本食糧新聞社