新ポスティング制度で大谷移籍の例外ルールは設けられるのか?
こうしてみると、規定された額のうち、300万ドル(約3億3000万円)以上を残しているとみられるのは11球団。そのうち6球団はペナルティを受けており、1選手に対して30万ドル(約3300万円)までしかオファーできないので、使いきれていないのかもしれない。 そういう意味で300万ドル(約3億3000万円)をつぎ込めるのは5球団だが、オリオールズは海外の選手と一人も契約しておらず、枠をトレードしながら、マイナーの選手を獲得している。残り4球団の中で、ロッキーズとパイレーツについては、本気で大谷を狙っているかどうか不透明。その一方、ダイヤモンドバックスとレンジャーズには明らかな意図を感じ、それなりに大谷が来ることを想定しているのだろう。 もちろん今後、大谷を狙っている各チームは、トレードで枠の総額を図っていくことになる。では、どこまで枠を増やすことが可能か。それを図2にまとめた。 表2 大谷に提示できる予想最高額 700万ドル以上(約7億7000万円)はダイヤモンドバックス、パイレーツ、ロッキーズ、オリオールズの4球団。また9チームが500万ドル(約5億5000万円)まで積み上げられる。レッドソックス、ヤンキースはすでにトレードで枠を増やしており、これ以上は難しい。 少しでも増額したいチームにとって狙い目は、ロイヤルズ、カージナルス、ブレーブスといったペナルティを受けているチームだろう。いずれも、350万ドル(約3億8000万円)以上の残額があると推定できる。また、枠を切り売りしながら補強をしているオリオールズにも300~350万ドル(3億8000万円)が残っているとみられ、今後は、彼らの枠を巡って争奪戦が繰り広げられるに違いない。 もっともこの額が、何を意味するのか、判断が難しいところ。 少なくとも、マイナー契約を覚悟して海を渡ろうとしている大谷にとっては、大した問題ではない。 日本ハムにとっても、実際のところ、たいした差ではない。総契約額が700万ドル(約7億7000万円)になれば、ポスティングフィーは105万ドル(約1億1000万円)。ドジャース、あるいはカブスと契約すれば、たったの4万5000ドル(約500万円)。確かに100万ドル(約1億1000万円)程度の差が出るが、現行の制度なら、20億円を手にする可能性もあったのである。 ただ、さすがに4万5000ドル(約500万円)では・・・。 先の大リーグ関係者は、「仮に4万5000ドルになれば、それを日本ハムが、承諾するとは思えない」とも話した。そうなると、大谷としても配慮せざるを得ない面もあるのではないか。 結局、新ポスティング制度の交渉いかんだが、仮に日本側が、総契約額の15%という条件を飲まざるを得ないようなら、大谷の移籍は不透明になるのかもしれない。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)