腐っていたのは山根前会長だけでなかった……日連幹部会見に見えた矛盾と嘘
この日、前出した内海氏の音声データに加え、山根元会長の審判不正に関するデータも公開された。それは、2016年2月に録音されたもので「接戦した場合、やっぱり奈良やな。それ、反対につけた場合は“おまえなめてるんか?”てなってくるわけ」と、ハッキリ語っていた。「最近は、奈良の選手を勝たせろとか言わない」とも強調していたが、以前は、そういう発言があったことも思わせるような内容だった。 吉森専務は、山根元会長の音声であることを認め「会長がそう言ったとすれば影響を受ける審判がいる可能性はある」としながらも「奈良を地道に育てあげてきた会長が、奈良県連を愛する余り、どうせ同じなら奈良につけていいんじゃないか、という願望を、ああいう子供みたいなところのある人だからうっかりと言ったと思う。(会長の)性格、態度から(言われた審判が)忖度したのかもしれないが、それはわからない」と、この期に及んで擁護した。 その強烈な性格がパワハラにつながっていたことを連盟の幹部は理解していなかったのだろうか。 もうひとつの内海氏の会話にいたっては「普通の世間話。審判委員会や、理事会の責任ある立場で言ったら(問題だが)事務室での雑談。不用意、軽率だと思うが、責任、非難されることではない」と反論。会長、連盟が暴力事件で廃部となった近大ボクシング部の復活に尽力したエピソードまで出してきた。 また審判不正の代表例としてテレビメディアで取り上げられている2016年の岩手国体で2度のダウンを奪った岩手の選手が、奈良の選手に判定負けした“奈良判定”と呼ばれる試合についても、山根元会長のテレビでの発言などをフォローするように「ダウンが価値あるようなイメージがあるが、アマチュアではそれは違う」と弁護した。さらに最悪だったのは、山根元会長の功績を質問も受けていないのに発信した点だ。 「日本連盟(の選手)は、今アジアのトップ3、4、5に入るレベルにある。山根会長が、アンダージュニア、女子選手を地道に(育てて)増加させた。山崎選手(しずちゃん)に(女子ボクシング参加を)要請したり、国際大会(2011年インドネシア)で団体優勝したときは井上尚弥もいた。そういう成果を上げるまでになった。井上尚弥もアンダージュニアから強くなってきた選手」 だが、この吉森専務の認識には大きな嘘がある。