2023年Q3、 ストリーミング 各社の加入者は増加。「サブスク疲れ」と対照的な成長の裏側
加入者は増加傾向
具体的に見ると、2023年第2四半期では、AMCネットワークス、フューボー、スリングTV、ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーのストリーマー4社は加入者が連続して減少していた。さらに言うなら、ストリーマーは全社とも、第2四半期よりも第3四半期の方が、加入者数増加数が大きい。これには、前期最大の加入者増加数(それぞれ590万人と200万人)を記録したNetflixとピーコックも含まれる。 こうしたストリーミング加入者増加傾向に関して驚くのは、映画俳優組合の組合員が自分たちのプロジェクトをプロモーションできず、その結果、加入者のコンバージョンが促進できなかった四半期に加入者が増えたことではない。加入者増加がストリーミングのサブスク疲れの話と対照的である点だ。 2023年7月、調査会社ハブ・エンターテインメント・リサーチ(Hub Entertainment Research)が米国在住の1602人を対象に調査したところ、43%が利用予定のTV/ストリーミングが最大数に達したと回答している。おそらくその回答者は皆、上限にも達しているはずだ。さらに今月(2023年11月)に入り、調査会社パークス・アソシエイツ(Parks Associates)が発表した調査では、インターネット加入世帯の29%は8種類以上のストリーミングサービスに加入していることが報告されている。 しかし、残りの過半数はまだストリーミングの加入を追加(もしくは再追加)しているようだ。調査会社アンテナ(Antenna)によると、加入したストリーミングを解約する人の35%は、1年以内に同じストリーミングに再加入している。とはいえ、大手ストリーマーは押しなべて2022年あたりにサブスク料金の値上げを敢行しているようなので、再加入する場合、料金が高くなる傾向がある。
ストリーミング事業は減益も収益性が向上?
一方、従来型有料TVの解約は現在も続いており、その割合は高まっている。2023年第3四半期では、米国有料TV企業上位6社はいずれも加入者数が減少しており、調査会社ライトシェッド・パートナーズ(LightShed Partners)によると、2022年第3四半期の加入者の7.5%から今期は9.3%と全体的に減少している。 しかしながら、ポストコロナの景気低迷後にあって、加入者増加だけでストリーミング事業が盛り上がっているわけではない。実は、ストリーミング事業単体で減益だったストリーミングサービス会社は、全社が減益の減少もしくは利益の増加を記録している。 ディズニー(事業損失):─4億2000万ドル(─約630億円)(70%増) フューボー(純損失):─8440万ドル(─約127億円)(20%増) Netflix(手元資金):+20億ドル(約3000億円)(258%増) パラマウント(調整後OIBDA):─2億3800万ドル(─約357億円)(31%増) ピーコック(調整後EBITDA):─5億6500万ドル(─約848億円)(8%増) ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー(調整後EBITDA):+1億1100万ドル(約167億円)(118%増)