夫が亡くなり、残った財産は「築35年の自宅」と「預金1000万円」程度です。4人の子どもに遺産を現金で渡すと「自宅」を手放す必要が出てきそうですが、住み続けることはできないのでしょうか?
配偶者居住権が設定されると相続はどうなる?
配偶者居住権が設定されたからといって、子どもたちが受け取る相続分が消滅してしまうわけではありません。配偶者居住権が設定されると、子どもたちは割合に応じて家や土地の所有権を相続することになります。 しかし母親がその家に住み続ける間は、実際にはその家や土地を勝手に売買したり、母親の許可なく住んだりすることはできません。つまり、子どもたちから見れば、母親がその家に住み続けている間は、事実上「相続が保留されている」状態になります。 ただし家や土地の所有権は子どもたちにもあるので、将来的に母親が亡くなったり、住まなくなったりした時点で、「居住権」が消滅し、子どもたちはその家や土地を自由に処分したり利用したりすることが可能です。この時点で初めて実質的に相続の分配が完了するとも言えます。 配偶者居住権が設定されることで、子どもは家や土地を相続することはできますが、母親が住んでいる限り実際に利用できるのは「後回し」になるということです。
まとめ
法定相続分を子どもたちに渡す場合、その支払いが住宅の居住に影響がある場合は、配偶者居住権の設定により家に住み続けられます。子どもたちにとっては、一定期間相続が実質的に保留状態になるとはいえ、法定相続分通りの所有権を持つことは可能です。 子どもに相続分を支払うために直ちに家を売る必要はないので、安心して住み続けられると覚えておきましょう。 出典 e-Gov法令検索 民法 e-Gov法令検索 相続法 執筆者:渡辺あい ファイナンシャルプランナー2級
ファイナンシャルフィールド編集部